長野がV 総合力生んだ2人のエース=都道府県対抗男子駅伝

曽輪泰隆

高校生、大学生の活躍が混戦に拍車

埼玉は服部(写真)が猛追するも及ばず2位 【写真は共同】

 長野同様、一般区間で3区・設楽啓太(東洋大)、7区・服部の大学生コンビが粘りの走りを見せたのは埼玉だ。3チームによる激しい2位争いを制し、銀メダルを獲得(2時間19分55秒)した。「120パーセントの走り」を見せた群馬が1秒差で続き、埼玉とともに過去最高順位&タイムを更新した。

 7位から5人抜きを演じた埼玉のアンカー・服部は、「1つでも上の順位を、と思って走った。(長野の)矢野に途中でペースアップされ、追いつけそうもなかったので2位狙いに切り替えた。優勝を目指していたので悔しいが、自分の役割は果たせたと思う」とサバサバ。設楽啓も「箱根後、疲れなどもあり、あまり練習ができていない中、予想以上に身体が動いてくれた。24分20秒ぐらいで走れたらと思っていたのでタイムもまずまず」と、区間5位(23分59秒)ながら14人抜きでチームに流れを呼び込む走りが光った。
 一方、3連覇を目指した兵庫は、1区・藤原滋記(西脇工高)の不調などもあり39位と序盤で大きく出遅れ、終盤追い上げたものの10位。第4回大会から続いた連続入賞も残念ながら15で途絶えてしまった。

 5区・向晃平(鎮西学院高)の区間賞の活躍などで途中までトップを走った4位の長崎(2時間19分58秒)までが2時間20分を切り、1区で堀龍彦(大牟田高)が区間賞を獲得するなど前半をリードした8位・福岡の2時間20分19秒も入賞ラインとしては過去最速。さらに上位15チームが2時間21分を切ったのも今回が初めてと、最後までめまぐるしく順位が変動する混戦が上位チームのタイムをグッと押し上げる結果につながった。
 さらに箱根路を沸かせた東洋大、駒澤大、日本体育大などの各選手がハードスケジュールにもかかわらず、故郷の代表として、中高生の手本となるべく実力を発揮したことも混戦に拍車をかける要因となった。

 次回、区切りの20回目を迎える都道府県対抗男子駅伝。東京五輪も決まり、今後ますます上位争いはハイレベルかつ厳しさを増すに違いない。

<了>

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著者プロフィール

1967年奈良県生まれ。早稲田大学教育学部卒。大学時代は早稲田大学陸上競技同好会に所属。卒業後は、アメリカ留学(陸上競技、コーチング)を経て奈良新聞社に入社。その後フリーに転身。『陸上競技マガジン』(ベースボール・マガジン社)などでライターとして活動している。

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