本田、デビュー戦で早くも放った存在感=ふがいないチームの柱となる可能性も
勝利はならなかったが本田は好評価
サイドに張ってピッチの幅を取り、スペースが出来れば中へ絞って攻撃へと絡む。ワンタッチでパスを裁いた本田は、エリアの中へ入ってゾーンの隙間に入るという動きを繰り返した。そして、そんな彼のもとにボールが集まる。後半24分、左から上がったクロスを頭で落とし、そのボールにさらにパッツィーニが反応するが、ゴールは割れなかった。
サッスオロのペースが落ちたせいもあるが、モントリーボや本田の投入でボールがつながるようになったミランは、相手に畳み掛ける。そして本田もさらに存在感を見せて行く。後半30分に左足で蹴った右からのFKは大きく逸れてしまうが、後半38分にはモントリーボの横パスに反応し、ダイレクトで左足のミドルシュートを放つ。強烈な弾道は枠を捉えるが、右ポストに弾かれた。
さらに本田はアディショナルタイムの49分にも、小気味よいターンでマーカーの裏を取って縦に突破、右サイドから正確なクロスを放っている。結局ミランは1点を返すに留まったものの、本田は出場した29分間で決して小さくない存在感を放っていた。
「良いパフォーマンスだった。もちろんまだ実戦のリズムを取り戻さなければならないし、味方との連係にもイタリアのサッカーにも慣れないといけないが、お披露目としては上々だったのではないか」とアレグリ監督も及第点を与えていた。詰めかけた地元記者も、本田のパフォーマンスには好印象。本稿入稿時点で翌日の現地紙はまだ発行されていないが、「チーム自体がめちゃくちゃだったせいもあるけど、彼の評点には6.5を付けミランの中でベストだと評価させてもらった」という一般紙の記者もいた。
監督更迭は定着のチャンスとも言える
その意味するところは、さしあたっての監督更迭。試合後の記者会見でアレグリ監督は「今までの4年間、自分のやってきたことについて後悔はない。たとえミランが私を解任するとしてもだ」と、なかばクビを覚悟した発言をしていた。
地元メディアの間では早速、現在ユースチームの監督を務めるフィリッポ・インザーギの内部昇格もうわさされているが、いずれにせよ加入直後の本田にとっては、チームに慣れている段階でいきなり変化が訪れることを意味する。
試合中、ミラニスタが巣食ったマペイ・スタジアム・チッタ・デル・トリコロールのアウエー席からは「働け」と選手を非難するチャントが歌われていた。激動のチームの中に放り込まることになった本田だが、チームの柱として定着できるチャンスが早速到来したとも言える。彼がどのようにして運命を切り開いて行くことになるのか、目が離せない。
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