“童顔の暗殺者”カリーの快進撃=ウォリアーズを勝利に導くプレーメーカー

杉浦大介

アシストを増やし司令塔としても成長

アシストを増やし司令塔としての成長も見せるカリー。今後も地元開催の多いウォリアーズが勝ち続ける可能性は高い 【Getty Images】

 今季のウェスタン・カンファレンスでは、昨季ファイナル進出を果たしたサンアントニオ・スパーズ、一昨年にファイナルに進んだオクラホマシティ・サンダーが再び本命視されている。攻撃的なスタイルでリーグを湧かせるウォリアーズも、高レベルの争いに割って入ることができるのだろうか?

 その鍵を握るのは、やはりチーム最大のプレーメーカーであるカリーなのだろう。シューターとしての名声は高まる一方のカリーだが、実はFG(フィールドゴール)成功率の数字自体は自己平均よりもダウンしている。昨季は45.3%だった3点シュートの成功率は今季は38.9%。8日までの10連勝中ですら、カリーのFG成功率は本来の出来からほど遠い38.1%に過ぎなかった。

 それでも一般的な評価が上昇しているのは、まずは前述の通りにシュート好調時のインパクトが半端なものではないから。それと同時に、平均アシストを大きくアップさせ、司令塔としての成長も印象づけているからだろう。

「カリーの得点力のすごさは誰もが知っているけど、オフェンス全体の指揮を執る能力も忘れてほしくない。彼は司令塔役を果たすべきときと、積極的にシュートを放つべきときを心得ているんだ。最高級のシューターであり、素晴らしいプレーメーカー。スーパースターと呼んで良いと思う」

 現役時代は自らもPGだったウォリアーズのマーク・ジャクソンHCの言葉は、もはや単なる身びいきには思えない。カリーは10日現在、平均得点でリーグ8位、アシストで同2位、3点シュート成功数で同3位。このバランスの良さゆえに、今ではリーグ屈指のPGとして認められるようになったのである。

今後もフロアリーダーとしての役割を担う

 10日からの18試合中13戦を地元で開催できるウォリアーズが、今後もハイペースで勝ち続ける可能性は高い。その上昇過程の中心には常にカリーがいるはずだ。

 一見すると高校生と見紛うようなベイビーフェイスの司令塔は、今後もフロアリーダーとしての成長ぶりもアピールし、シュートタッチが良い日には驚異的な3点シュートを連発して全米を驚嘆させるのだろう。

 “童顔の暗殺者”の快進撃は続く。夕食の約束をキャンセルしてでも大型テレビの前に貼り付き、カリーの鮮やかなプレーを前に手に汗握っているのは、もうビル・シモンズだけではないはずである。

<了>

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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