「世界で一番強い」オルフェーヴル=語り継いでいこう、その黄金の輝きを

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オルフェーヴルが有終の美を飾る有馬記念8馬身差の劇勝! 【写真:中原義史】

 JRA競馬の1年を締めくくる年末風物詩のグランプリレース、第58回GI有馬記念が22日、中山競馬場2500メートル芝を舞台に行われ、池添謙一騎乗の1番人気オルフェーヴル(牡5=栗東・池江厩舎、父ステイゴールド)が優勝。後方待機から大外を捲って直線入り口で早くも先頭に立つと、後続をグングンと突き放し、最後は8馬身もの大差をつけて引退レースを有終の美で飾った。良馬場の勝ちタイムは2分32秒3。

 オルフェーヴルは今回の勝利で通算21戦12勝(海外4戦2勝含む)。GI勝利は2011年皐月賞、同日本ダービー、同菊花賞、同有馬記念、12年宝塚記念に続く6勝目。来年からは北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬となる。
 また、騎乗した池添、同馬を管理する池江泰寿調教師はともに同じコンビで09年(ドリームジャーニー)、11年に続く有馬記念3勝目となった。

 なお、8馬身差の2着には岩田康誠騎乗の4番人気ウインバリアシオン(牡5=栗東・松永昌厩舎)、さらに1馬身半差の3着にはライアン・ムーア騎乗の2番人気ゴールドシップが入った。

圧巻の8馬身、それでも出来8割だった

生涯最高のパフォーマンスとすら思える圧勝劇、それでも出来は8割程度だったという 【写真:中原義史】

「オルフェらしい引退レースでしたね」
 レース後、池江調教師が語ったこの言葉に、この日の有馬記念のすべてが凝縮されているように思う。後方4番手追走から、前を行く13頭を並ぶところなく抜き去っていき、最後の直線は文字通りの独り舞台。まさにオルフェーヴルの、オルフェーヴルによる、オルフェーヴルのための有馬記念だった。

 それでいて、今回の出来は“8割”だったと言うのだから、なおのこと驚かされる。
「凱旋門賞をピークに持っていったので、調整が難しかったですね。去年の宝塚記念は7割ぐらいだったんですけど、それは牧場から帰ってきての7割。でも今回はピークから落ちてきての8割でしたから」
 さすがの若き名トレーナーも、決戦前は「どうかな?」と一抹の不安もよぎったという。しかし、当のオルフェーヴルはそんな人間の心配もどこ吹く風。むしろ、生涯最高のレースではないかと思わせる圧巻のパフォーマンスで、自身の現役生活に華々しいピリオドを打った。
「本当、いい意味でも悪い意味でも、いつも裏切ってくれた馬でした。きょうはもちろん、いい意味で裏切られましたよ」

強烈なカリスマ性に彩られた3年半

油断したら振り落とされる、池添は下馬するまで気が休まらなかった 【写真:中原義史】

 オルフェーヴルの3年半にわたる競走馬生活は、例えるならばまるでロックミュージシャンのように、破天荒でいて、それが強烈なカリスマ性を放っていた。

 10年8月の新馬戦。能力通りきっちりと快勝するも、その直後に池添を振り落として放馬するという、インパクト大の競走馬デビューだった。2戦後のGII京王杯2歳Sでは1番人気ながら10着に大敗し、明けて3歳となった最初の2戦でも連敗。決してエリートコースの王道を歩んでいたわけではないが、目先の1勝を取るのではなく、先を見据えた調教とレースでの教育が実を結び、ご存じのとおりクラシック三冠レースをすべて圧勝。一躍、競馬界のトップスターとなった。
 暮れの有馬記念も勝ち、現役最強の座を確固たるものとしたが、翌12年の初戦、GII阪神大賞典では大きくコースを外れる“世紀の大逸走”をしてしまう、いや、「やらかした」という方がしっくりくるだろう。続くGI天皇賞・春も11着に沈み、凱旋門賞挑戦が白紙寸前のところまで行くも、GI宝塚記念で復活V……と、4歳夏の時点を振り返るだけでも、普通ではない強烈な“個性”をきらめかせていた。池添が1つ1つの思い出をよみがえらせながら、最高のパートナーとの3年半を振り返った。

「ちょっとでも油断すると“落としてやるぞ”っていう感じで、この馬に乗っているときは、降りるまで油断できなかったですね。新馬戦からケガさせられましたし(笑)、本当に色んなことがありました。うれしさもありましたし、悔しい思いもした。自信を取り戻させてくれたレースもあります。3年半、色んなことがありましたけど、この馬の騎手でいれて、本当に良かったですね」

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