大久保嘉人、亡き父に捧げる得点王=川崎をACLに導いた土壇場の勝負強さ
連続ゴールで川又の挑戦を跳ね返す
初の得点王を獲得した大久保。川又の追い上げに奮起し、3試合連続ゴールを決めた 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】
清水戦を前に大久保は川又について述べている。「まだ2点ある。若いから勢いに乗るかなとも思ったが、そう簡単でもないとも思う」そんな川又は、川崎よりも前の時間で行われた大分戦で1点を決め、ついに大久保と1点差まで追い上げた。
大久保は試合前にはこの川又のゴールを知っていたという。「結果は知ってましたが、抜かれてはなかった。『離さないと』というプレッシャーがありました」と話すこの清水戦で大久保は先制点を決める。幾度と無く訪れる決定機を外し、川崎自ら難しくしてしまった試合の中、山本真希からのクロスを頭で合わせた64分の得点は、大久保にとって頭で決めた今季初ゴールとなった。川又との得点差を2に戻した大久保は、試合終盤の88分のPKによって2点目を奪いチームの勝利を決定づけた。
この清水戦を皮切りに、続く32節の浦和戦では何度と無く訪れた決定機をことごとく外しながら、後半アディショナルタイムにようやくゴール。大分で決めたアディショナルタイムの決勝弾を含め、3試合連続ゴールを達成した。
年間を通してコンスタントに得点
結果的に無得点に終わった横浜FM戦も大久保のミドルシュートが枠をとらえたからこそレナトのゴールにつながっている。そうしたアシストとしてはカウントされない活躍も含め、チームのゴールに絡んできた。
川崎のACL出場権獲得に貢献した最大の功労者でもあり、この11月、12月の月間MVP受賞は妥当であろう。今季は開幕からの6試合で3分け3敗とチーム自体の調子が上がらなかった。その時のチーム状態とは全く違う次元にチームが進化していることもあり、来季のさらなる活躍が期待される。
得点王として表彰された12月10日のJリーグアウォーズを終え、ミックスゾーンに現れた大久保は来季に向け、2年連続得点王とMVPの獲得に意欲を見せた。そして、チーム全員が出席した広島に刺激を受け、「みんなで来たいな、と思いました。優勝チームとしてね」と述べている。
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