名門復活?好調リヴァプールは本物なのか=躍進を陰で支えるジェラードの後継者
ベストメンバーがそろったのは一度きり
ここまで13節を終えて4位と復活の兆しを見せるリヴァプール。名門復活はあるのか 【Getty Images】
実は、ディフェンス陣に二人ほど“故障絡みの変動”があったのを除いて、この布陣でスタートした試合は、ここまでただの一度しかない。11月9日のイングランド・プレミアリーグ第11節、スアレスの2得点などで4−0と圧勝したフルアム戦だ。
開幕から不振続きで、つい先日にはとうとう監督、マルティン・ヨルの解任という事態を迎えてしまったフルアムが相手とはいえ、その内容はまったく危なげない理想的なものだった。しかし、繰り返すが、バックライン以外でこのベストメンバーがそろったのは一度きり。そして、その事実こそが今季リヴァプールの好調の秘密を炙り出しているとも考えられるのだ。
もし、リヴァプール悲願のプレミア初優勝が見えてくるとしたら、その最大のキーマンは2年目のコウティーニョ――というのが、開幕前の現地識者のほぼ共通した見解だった。ところが、そのコウティーニョが故障がちでなかなかフル出場が叶わない。その控え役として新しく迎え入れた(かどうかは、プレースタイルからして少々怪しいが)ルイス・アルベルトは、いまだチームに溶け込めない様子で、ここまでスタメンは一試合のみ。
そして何よりもスアレスの問題があった。前シーズンのツケによる彼の不在期間、得点力の心もとなさをどう繕い、補うか。スタリッジは確かに頼もしいニュースターだが、負担の重さと当然予想される集中マークに調子を乱し、あげく故障でもされたら大変だ。そこで獲ったのがイアゴ・アスパスだが、開幕前の“他流”ウォームアップマッチでこそ見どころを作ったものの、明らかにまだプレミアになじめていない。
加えて、ディフェンスも万全とはいえなかった。トゥーレがアーセナル時代(の初期)ほどやってくれるのかどうか、ダニエル・アッガーは慢性的故障持ちだ……。
戦力がそろわない中でも首位争いを演じる
開幕3戦はいずれも苦戦を強いられながらの1−0という、イングランドでは伝統的に「最もカッコいい」勝ち方を収めている。三連勝を飾ったその極めつけが宿敵マンチェスター・ユナイテッド戦だったことが、チームを大いに鼓舞したのは想像に難くない。
ところが、次なるスウォンジー戦では終盤で追いつかれてドロー(2−2)、さらにサウサンプトンにホームで惜敗(0−1)、続くリーグカップ3回戦はユナイテッドのリベンジに遭って無念の敗退(0−1)……過去ざっと20年間、80年代の覇者リヴァプールはそうやって頂点に届かないホゾを噛んできた。さて、今シーズンもまた同じ轍を、宿命を背負うことになるのか?
だが、違った。ツイていたと言うのが正しいかもしれない。満を持して戻ってきたスアレスが、予想、期待以上の大活躍で再び、チームに勝ち運を呼んだ。
行ける。いや、他のライバルチームを含めた全方向から、目の色を変えたような要注目の声が飛び交った。
「今シーズンのリヴァプールは一味違う!?」
なにしろ、新戦力のアルベルト、アスパスが期待外れ、カギを握るコウティーニョがとても完調とはいえない中、サウサンプトンのみに後れを取っただけで(その後のサウサンプトンの大健闘を見れば決して“取りこぼし”ではなかった)、しぶとく、したたかに、また鮮やかに、首位争いを演じているのだから!