『スマートバレー』で飛躍なるか!?=グラチャンバレー男子 大会見どころ

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19日に開幕するワールドグランドチャンピオンズカップ2013に出場する全日本男子14人 【坂本清】

 バレーボール男子のワールドグランドチャンピオンズカップ2013(通称:グラチャン)が11月19日(火)〜24日(日)に、京都府立体育館(19日、20日)と東京体育館(22日〜24日)で開催される。

 国際バレーボール連盟の公認大会であるグラチャンは、オリンピック(五輪)、ワールドカップ、世界選手権と並ぶ世界4大大会のひとつ。各大陸王者などが集まり、6カ国によって優勝を争う世界一決定戦となる。
 今回は、開催国の日本(世界ランキング17位)、アジア代表のイラン(同12位)、ヨーロッパ代表のロシア(同2位)、北中米代表の米国(同4位)、南米代表のブラジル(同1位)、推薦国のイタリア(同3位)が出場する。

 世界ランキング上位4カ国とアジア王者。全日本男子『龍神NIPPON』にとっては、世界のトップにチャレンジする絶好の機会となる。ゲーリー・サトウ監督が就任し、今年5月に新体制で始動した日本にとっては2013年の集大成でもあり、今後の指針を方向付けるためにも重要な大会となるだろう。

※世界ランキングは10月7日付のもの

リオ五輪への長期的視野で進化の過程

世界選手権アジア最終予選では韓国に敗れ、初めて出場権を逃した全日本男子 【写真は共同】

 ゲーリー監督就任以降の全日本男子はなかなか結果が出ず、苦しい戦いを強いられている。今年6月〜7月にかけて行われたワールドリーグでは予選ラウンド3勝7敗で最下位。アジア選手権では4位、そして9月の世界選手権アジア最終予選では韓国に敗れて2位となり、初参加の第4回大会から14大会続けていた連続出場を途絶えさせた。

 それでもゲーリー監督は、「毎回試合をするたびに、何が課題かが浮き彫りになる。今回はいろいろ検証し、サーブとブロック、ディフェンスにフォーカスして練習してきた」とチームが進化の過程にあると語る。
 ゲーリー監督がチーム立ち上げから目指しているのが『スマートバレー』。選手個々の状況判断や、海外の選手がプレーしているメソッドを取り入れるなど、チームとしての成熟のみならず、個人の技術や思考法の向上を強化の中心に据えている。

 その中で思うような結果が出ずに苦しんでいるように見えるが、ゲーリー監督は「勝てばいろいろなことが解決されるのだと思う。重要なことは目標遂行に向けて頑張ること。自分としては、最終的な目標が(2016年の)リオ五輪に出場することなので、その目標を達成するように頑張る」と、長期的な視野での強化を考えている。

 グラチャンに向けて、指揮官は「世界の強豪と戦えるので、そこで経験を得ることで、上達の助けになると思う。自分たちに何が足りないか、何ができるかを判断し、その部分をきっちり確認したい」と、世界で日本がどこに位置するかを明確にするため、今大会に臨む。

相手はすべて格上「糧になる試合をするだけ」

主将の山村はグラチャンに懸ける思いは強い 【坂本清】

 一方、今季のチーム主将を務める山村宏太はグラチャンに懸ける強い意気込みを表した。
「前回大会のグラチャン(2009年)で3位になった時、自分は出場できていなかったので、今回にかける意気込みは人一倍強い。前回以上のメダルの色が取れるように頑張りたい」と抱負を語っている。

 この半年間、キャプテンとしてチームをけん引してきた山村だが、グラチャンに向けてのチーム状態について「思うような結果が出ない中で、チームもフラストレーションを抱えながら戦ってきた。勝てなかったことが、今のチームに『勝ちたい』と言う気持ちを生み出していて、練習にも活気があるし、1人ひとりが気持ちを持って取り組めている」と、良好な状態で大会に向けての練習に取り組んできたと語る。

 ゲーリー監督が求めるスマートバレーについては、新しいことに取り組んでいるということで、すべてが順風満帆に進んでいるわけではないが、選手たち個々の気持ちは同じだ。
「世界のスタンダードを考えたとき、実際、海外の選手が行っているプレーを僕たちが技術として落とし込むことが重要。自然と必要なことだと思っている。今これだけ苦しんでいるけど、各自が必要だと思った上で取り組んでいる」とその指導に対し疑う余地はない。ただ必要なのは、「結果が伴えば自信にもつながると思うので、僕たちは結果が欲しいという状態」だと語った。

 また右足首の手術で今季の代表参加が8月からとなった清水邦広は、現在の状態を「8割は戻っている」と話す。ただ、過去の状態に100パーセント戻っていない分、いろいろ見えてきたものもあるという。「サーブだったら、コースを打ち分けたり、奥に打ったりするなど技術で補うようにしている。思いっきり打つだけでなく、すこしトスを下げて、体全体を持っていって打つサーブかを決めるなど、スパイクのフォームの流れを決めて、決定率を上げる」と、力で押し切るだけでなく、安定感や決定率まで意識したバレーを目指す。

 グラチャンの対戦国は日本が18位(最下位)に終わったワールドリーグで1位となったロシア、2位のブラジル、3位のイタリア、そして日本が4位で終わったアジア選手権で優勝したイラン、とすべてが格上。「チャレンジ以外の何ものでもない。ひとつひとつ自分たちの糧になる試合をするだけ」(山村主将)と、今までチームにたまったフラストレーションを発散すべく、自分たちのすべてをぶつけるだけだ。今年最後の代表戦で、『龍神NIPPON』の奮起に期待したい。

<了>
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