父・力道山から伝承した「プロレスの力」=百田光雄から息子・力へ――

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12月16日(金)に東京・後楽園ホールにて、『力道山没50年メモリアル興行“プロレスの力”』でデビューする“力道山3世”力。その父であり、プロレスラーでもある百田光雄が父・力道山から伝承した「プロレスの力」を伝承する 【(C)イープラス】

 12月16日(金)に東京・後楽園ホールにて、『力道山没50年メモリアル興行“プロレスの力”』が開催される。同大会では、力道山の孫にあたる百田力、リングネーム「力(ちから)」がデビューすることが決定。大きな話題を呼んでいる。

 だが、今大会の主役は、力道山の息子であり、力の父親である百田光雄だろう。第1試合では力と親子タッグを結成し、折原昌夫&NOSAWA論外と対戦。さらに、メーンイベントの記念試合にも出場し、秋山準&高山善廣と組んで、佐々木健介&初代タイガーマスク&藤原喜明と激突する。

 デビュー戦での親子タッグという難しいシチュエーションの第1試合。そして、ジュニアヘビー級の体型なのにもかかわらず、ヘビー級戦士たちに囲まれるメインイベント。65歳の百田が、1日で2試合に出場するのも想像以上にハードなはずだ。43年に及ぶレスラー人生において、最も過酷な一日になると言っても過言ではないだろう。

 百田はそんな厳しい戦いにどんな気持ちで臨もうとしているのだろうか? そして、父・力道山、息子・力に対する思いとは? 「プロレスの力」を信じて戦い続けた百田に現在の心境を聞いた。

息子・力の秘めたる可能性

――力選手のデビューが決定してから2カ月経ちました。百田さんご自身が練習を見ているそうですが、成長具合はどうですか?
 成長しているのを感じますね。技を覚える部分でもそうですけど、スパーリングも始めているんですが、ガンガン攻め込まれた時に、バーンと弾き返すところが出ているんですね。そういう部分が試合でも出せれば、お客さんも「おっ!?」と感じてくれるかなと思ってます。

――基礎は出来上がってきていると?

 僕は取材を受けた時に必ず言うんですけど、プロレスラーはたくさん受け身を取って、自分の身を守るのを学ぶところから始まるんです。そういう意味では、受け身も取れるようになってきてますし、いい形でデビュー戦に向かっていると思いますね。体質改善も図っていて、腹筋が割れるか割れないかというぐらいのところまで絞れているので、あと2カ月でいい形に仕上がってくれる気がします。

――客観的に見ても、面白い新人だなと感じますか?

 怒ったら顔を真っ赤にして向かっていくようなタイプですから、単純でわかりやすいというか、ファンの方が食いつきやすい存在だと思います。一番いいところはやられた時に出てくる反骨心。それが試合で発揮できれば、いい試合をお見せできると思いますね。

――観客の声援が集まりやすいタイプだと?

 単純に言うとそうですね。最近のプロレスは動きが速過ぎて、初めて観た方は「何をやっているのかな?」「どっちが攻めているんだろう?」とわからなくなることがあるじゃないですか。でも、昔のプロレスは極端に言うと「殴られている方がいかにそれを耐え抜いて、どう反撃するのか?」という単純明快な見方ができたんです。彼はそういう戦いで魅力を出せるタイプだと思います。華麗にリングの上を舞うことはできなくても、攻撃を耐え抜いてそれをはね返すという一番わかりやすい形でファンにアピールできる気がしますよ。

――若いファンからすると、逆に新しく感じるかもしれませんね。対戦相手に折原選手とNOSAWA選手を選んだのはなぜでしょう?

 彼らは「ガンガン攻めるタイプ」なんで、うちの息子は体力があるから、それを耐えて弾けるものがあったら、その後に繋がるかなと。そこで弾けなければ、そのまま萎んで終わっちゃうかなとも思うし(苦笑)、ある意味で「賭け」ではあるんです。折原選手とNOSAWA選手はテクニックもあるし、キャリアもあるし、ヒール的な存在なので、一番いいかなと。僕の頭の中だけですけど、いい試合になってくれると想像しています。

――デビューに向けて力選手が練習する姿を見ていると、どんなことを感じますか?

 いや、僕より親父に似ているなって。僕は足が細いんだけど、彼は太いんですよ。だから、黒タイツをはくと、引き締まって見えるんです。僕みたいに足が細いと、ももひきに見えちゃうんで(笑)。全体のプロポーションも大事ですから、そういう意味でも、仕上がってきているんじゃないかなって。基本的には僕よりマスクもいいし、体も大きいし、黒タイツは似合うと思います。東京スポーツさんに取材を受けた時に黒タイツ姿を披露しましたけど、デビュー戦の試合用にまた別のタイツを準備しているんで。

「力道山」という名前のプレッシャー

――百田さんも「力道山」という名前がプレッシャーに感じたと以前仰ってましたが、力選手はいかがでしょう?

 僕ほどは感じていないと思いますね。僕は父が生きていた時代背景を知っていますし、父がどれほど一般の皆さんに愛されたかのかを肌で感じてきましたけど、息子はいろいろな人から話は聞いているとしても、実際に自分では見ていないので。だから、息子は「おじいちゃんはすごいけれど、僕はお父さんを見てプロレスをやりたいと思った」と言うんです。

――「力道山三世」として注目を集めていますが、「百田光雄二世」という見方もできるんですよね。

 基本的に小さいころから僕の試合を見て育っていますから。だけど、数万人の観衆の前でどよめきのような声援を受けながら試合をしている父を感じてほしくて、僕は試合映像も見せてきたんですよ。あのころは応援の仕方も違いましたよね。じっくりと見て、父がやられて、耐えてボーンとはね返して、空手チョップが1発出た瞬間の歓声と言ったら……。「ワー!」じゃなくて「ウオォー!」といううねりみたいな歓声だったんですよ。

――百田さんは日本プロレス時代からプロレス界の隆盛を見てきてますからね。そういう人を父親に持つ力選手は、若い世代の中で最も力道山を知るレスラーかもしれません。今回、親子でタッグを組むことに不安はありますか?

 もちろん父が生きていたころは僕もまだプロレスに入ってないので、全然経験はないですけど、兄弟タッグはやっているんです。僕が先にデビューしている状態で兄(百田義浩)もレスラーになっているので。でも、正直、すごく疲れるんですよね(笑)。キャリアは僕の方が上だったので、自分の兄だけれど、どうしても僕がサポートする頭になっちゃうんですよね。兄のイメージが悪くならないようにという考えは常にあったんです。今度は息子と組むわけですけど、やっぱり彼のいい面をなるべく引き出したいと思うんで。実戦になってみないとどういう流れになるかはわからないけど、僕たちみたいにキャリアのある選手は会場の雰囲気を感じて、自然に身体が動くんでね。どうにか対応できる気がします。

――コーナーからリング上の息子さんを見守ることになったら、どんな気持ちになるんでしょう?

 僕は試合になるとスイッチが入って、テンションが高くなるタイプなんですよ。だから、エプロンから罵声を浴びせているような気がしないでもない(笑)。で、向こうもそれに反発してきたら……普段は「お父さん」としか呼ばないんですけど、リング上で僕がやられている状況で「お父さん」と呼んだらカッコ悪いしね。「親父! 行け、オラ!」ぐらいに言うかもしれない。そうしたら、「なに、この野郎! お前には言われたくないわ」と思って僕も爆発できるんじゃないかなって(笑)。試合になれば、いくら親子と言ってもパートナーですから、気を遣っているうちはダメだと思います。リングに上がったら、五分と五分という気持ちでいてほしいですよ。

――どうしても力選手の一挙手一投足に注目が集まるのではないかと思います。

 そうでしょうね。彼はコーナーで待っている姿勢からすべて見られると思うんで、そういうところまで意識して、ビシッとできなきゃいけないでしょうね。それはスパーリングをしている時も常に注意して言ってますけど、テンションが必要以上に高くなると、息が上がるのも早くなって余裕がなくなるんですよ。今は20分ぐらいの試合形式のスパーリングをやらせていますけど、3人ぐらいの選手に参加していただき、ドンドンと相手を替えながら練習させて、スタミナを付けています。

――まだデビュー前なので気が早い話ですが、力選手と直接対戦したいと思いますか?

 実際に戦うとしたら…。僕はずっと彼を見ていますから、欠点が全部わかるんです。試合ではそれを攻めればいいだけなので、結構簡単かなと(笑)。ただ、向こうは若いし、僕よりもパワーがあるんでね。そういう意味では、いい形でいけると思いますよ。

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