本田圭佑がシティ戦で見せた3つの工夫=屈強な選手に負けないための対処法

北健一郎

守備的な布陣で挑み、本田のアシストから先制点を奪う

守備的な布陣で挑んだ中、惜しいボレーシュートを放つなど本田(写真右)は存在感を放った 【写真:AP/アフロ】

 現地時間23日(日本時間24日)に行われたUEFAチャンピオンズリーグのグループリーグ第3節。日本代表MF本田圭佑の所属するCSKAモスクワはホームにマンチェスター・シティを迎え、1−2で敗れた。

 本田圭佑は4−2−3−1のトップ下として出場した。ただ、4−2−3−1と書いたが、前半のCSKAは「9−0−1」と表現してもいいほど、守備ブロックを低い位置に引いて跳ね返そうとする守備的な戦い方を選択した。

 本田は守備的なゲームプランに沿って、トップ下でありながら自陣のペナルティーエリア内まで下がってディフェンスにも献身的に参加。マイボールになれば何十メートルも上がって攻撃参加するなどチームプレーヤーとしてハードワークをこなした。

 先手を取ったのはCSKAだった。

 前半32分、GKからのロングボールを本田がヘディングでDFラインの裏に落としたところに、斜めからゾラン・トシッチが走り込む。トシッチは飛び出してきたGKの頭の上を狙ってちょこんとループシュート。これが決まって、CSKAがシティ相手に先制する。カウンター1発にかけていたCSKAにとっては理想的な形だったといっていい。

 この場面、本田のマークについていたのはシティのハビ・ガルシアだった。ハビ・ガルシアは186センチと182センチの本田より4センチ大きい。物理的には相手のほうが有利なはずだった。なぜ本田はヘディングで競り勝てたのか?

 本田の“勝因”はGKがロングボールを蹴った瞬間に素早くボールの落下地点を予測し、ハビ・ガルシアよりも先にヘディングの準備をしていたこと。本田は日本人の攻撃的選手には珍しく外国人選手に競り勝てる肉体的強さと、ヘディングの落下地点を予測する空間認知能力を持っている。

 決して華麗な形ではないが、本田の2つの特長が表れたアシストだった。

見せ場を作るもこの日は“持って”いなかった

 しかし、先制したのもつかの間、CSKAは2分後の前半34分、あっという間に同点とされてしまう。最も警戒していたはずのダビド・シルバにDFラインとボランチの間のスペースで受けられ、ゴール前のセルヒオ・アグエロにつながれてあっさり同点に。さらに前半42分には、アルバロ・ネグレドのクロスからアグエロに2点目となるヘディングを決められ1−2。

 後半、ホームで勝ち点を挙げたいCSKAはアタッカーのアフメド・ムサを投入してゴールを目指した。お互いにチャンスがありながらも、得点を決めることができない。このままタイムアップかと思われた後半アディショナルタイム、CSKAにラストチャンスが訪れた。

 右サイドからのクロスをシティDFがクリアし切れなかったボールは、ファーサイドで待っていた本田の元へ。本田は浮き球を左足でコントロールしてからボレーシュート。トラップからシュートまですべてが完ぺきだったが、地を這うようなシュートはシティのGKジョー・ハートに止められゴールならず。これが決まっていればヒーローになっていたが……。残念ながら、この日の本田は“持って”いなかった。

 とはいえ、全体的なプレーを見れば本田のパフォーマンスは十分に評価に値するものだったといえるだろう。

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著者プロフィール

1982年7月6日生まれ。北海道旭川市出身。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、放送作家事務所を経てフリーライターに。2005年から2009年まで『ストライカーDX』編集部に在籍し、2009年3月より独立。現在はサッカー、フットサルを中心に活動中。主な著書に「なぜボランチはムダなパスを出すのか?」「サッカーはミスが9割」(ガイドワークス)などがある。

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