香川真司の境遇を憂うドルトムント=『必要』とする古巣への復帰はあるか?
キープレーヤーとしての期待が大きいムヒタリアン
大きな期待を受けてドルトムントへと移籍したムヒタリアン。しかし、慣れるにはまだ時間がかかりそうだ 【Getty Images】
今回もドルトムントは、継ぎ目をつくることなくキープレーヤーの交代に成功している。香川を売った移籍金で、マルコ・ロイス獲得の支出はまかなえた。メンヘングラッドバッハでセンセーションを巻き起こした男が、ユース時代にプレーしていたドルトムントへ戻ってきたのだ。
ロイスがウイングに入ることで、スーパータレントのマリオ・ゲッツェは中央へとポジションを移した。1年後にゲッツェもバイエルン・ミュンヘンへの移籍という(金銭的な)夢を叶えた。だがゲッツェは、移籍の約束を違えたことで怒りを買った。いまだにファンはこの21歳の若者には暴力的な反応を見せている。
ゲッツェの移籍は、ドルトムントに大きな穴を残した。昨季のチャンピオンズリーグでの対戦時に目を引いたアルメニア代表のヘンリク・ムヒタリアンの獲得のため、ドルトムントはシャフタール・ドネツクにクラブ記録となる2750万ユーロ(約37億円)を支払った。だが「ミキ」はブンデスリーガでポテンシャルをフルに発揮するには至っておらず、ドイツに慣れる時間を必要としている。
選手としての格に疑いはないものの、この24歳にはクロップのチームでかつて香川が担った役割を果たすだけではなく、もっと香川に似た選手になることが要求されている。プレーの正確性と速いパス、広い視野と規律、それに得点力が求められているのだ。
香川が出した答えは「ノー」、しかし来季は……
今夏、そして現時点まで、ドルトムントが香川から受け取った答えは「ノー」である。「ちょっと早すぎることは明らかだ。シンジは今季のユナイテッドでブレイクすることを望んでいる」とクロップは語った。「違う答えを予想してはいなかったが、確認するために尋ねておきたかったんだ」というのが実際のところだった。両者にとって、復帰は「今季の話ではない」のである。
今後数カ月で香川の移籍が再び話題となる兆候は、どんどん増している。ドルトムントは最近負傷者の多さに苦しんでいるが、現状を見ると問題解決のために今冬の補強が優先されることはなさそうだ。
ただし今季が終われば、両者がバランスを取ることはできるだろう。香川は英国でのプレー時間を鑑み、ドルトムントは得点王ロベルト・レバンドフスキがフリートランスファーでミュンヘンへと向かう動きを注視することになる。
レバンドフスキの穴を埋める選手が必須になる
ドルトムントにはヤクブ・ブワシュチコフスキ、ムヒタリアン、ロイス、ピエール・エメリク・オーバメヤンと、香川と一緒になることで組織として攻撃の問題を解決できる多様な選手がそろっている。
スポーツディレクターのミヒャエル・ツォルクが、代理人のトーマス・クロートの扉を再びノックする可能性はある。この件に関して、金銭面は問題視されないと予想されている。
シャヒンの例は現在のドルトムントにおいて、あらゆる選手がローテーション制に直面するかもしれないことを示している。再び幸せになれるクラブへの復帰に、この条件をのむか否かは、選手の判断を待つしかない。
<了>
(翻訳:杉山孝)