香川真司の境遇を憂うドルトムント=『必要』とする古巣への復帰はあるか?
SNS上で「シンジを解放しろ!」と広がる
今季のマンチェスター・ユナイテッドでベンチを温める時間の多い香川。古巣への復帰は? 【Getty Images】
ファンはインターネット上で「シンジを解放しろ!」と叫んでいる。うわさはゆっくり渦巻き始めている。ドルトムント復帰は実現するのだろうか?
「#Freeshinji」とは、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)上でのキャンペーンの名称である。ここで世界のサッカーファンは、なぜサー・アレックス・ファーガソンの後継者デイビッド・モイズが香川に頼らないのかに対する不理解の思いを共有している。
始まりは8月下旬のことだった。「赤い悪魔」がチェルシーと対するプレミアリーグの一戦で、香川は90分間ベンチに座らされたままだった。モイズは2人の選手を投入したものの、交代枠を使い切ることはなかった。
こうした事態がユナイテッドにうまく働くことはなく、香川の調子を通常通りに保てなくなるかもしれない。イングランドの名門はファーガソンの退任後、平均的なチームに成り下がった。スターFWロビン・ファン・ペルシーの輝きに、強く依拠している状態である。
MVP獲得のシャヒンも移籍で輝けず
ドルトムントのサポーターがSNS上でつぶやいたのは、翌日19時09分。このドイツの伝統あるクラブの設立年「1909年」にちなんだ時刻だった。
「#Freeshinji」の動きは国境を越えて広がり、サッカー愛好家やルール地域といった枠を越え、プレー時間を奪われた攻撃的MFに対する“救済策”が敷かれた。世界中に「#Freeshinji」が広がった。
ドルトムントのファンが移籍したスターを恋しがるのは、これが初めてではない。2011年夏にセンセーショナルなブンデスリーガ制覇を成し遂げた後、レアル・マドリーからのオファーを断れなかったヌリ・シャヒンを思い、ドルトムントの街には涙があふれた。ドルトムントで12年の優しい時間を過ごした中盤の戦略家は、ジョゼ・モリーニョ監督の絶対的な優先獲得候補として、スペインへ渡って行った。
だが2010−11シーズンのドイツ年間最優秀選手は、スペインの首都においては招かれざる者だった。リーガ・エスパニョーラ4試合のみの出場に留まっては、シャヒンが故郷を恋しがったのも当然だろう。
シャヒンは期限付き移籍したリバプールで再び輝き、「銀河系軍団」に戻るために自信を取り戻さなければならなかった。レッズ(リバプールの愛称)で出場機会は増えたものの、実力をフルに発揮することはできなかった。アンフィールドでのシャヒンの冒険は、数カ月ののちに終焉を迎えた。
再び戻った時にはレギュラーは用意されず
シャヒンはクロップのシステムの中で鍵となる選手ではあったが、彼の移籍が穴を開けることにはつながらなかった。後継者として、ニュルンベルクからイルカイ・ギュンドアンを獲得し、ワールドクラスに成長するための順化の第1ラウンドはすでに終了していた。ドルトムントはギュンドアンとともに、歴史的な数字を残して初の2冠を達成していた。ギュンドアン、キャプテンのセバスティアン・ケール、アンダー世代のドイツ代表モリッツ・ライトナーと、ドルトムントの中盤の底、「6番」のポジションはすでに大混雑していた。
中盤の戦術家はこれ以上必要なかったが、ドルトムントはこの移籍を自らに「許可」した。黒と黄色のユニホームに袖を通し、シャヒンの胸は高なった。
リュデンシャイト生まれのこの青年は、年俸ダウンだけではなく、一からのやり直しというマイナスを受け入れた。もはや先発レギュラーの座も用意されておらず、クロップは選手のローテーションの頻度を高めていた。