ザック監督「ポジティブな内容だった」=国際親善試合 セルビア戦後会見

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セルビア戦を振り返り、ザッケローニ監督は決定力を課題に挙げた。少ないチャンスをモノにしたセルビアとの差は明らかだった 【Getty Images】

 サッカー日本代表は11日、セルビアのカラジョルジェ・スタジアムで国際親善試合のセルビア代表戦に臨み、0−2で敗れた。一進一退の攻防で迎えた59分に一瞬の隙を突かれて先制を許した日本は、アディショナルタイムにもカウンターから失点。攻撃陣も時おり訪れたチャンスをモノにできず、精彩を欠いた。

 試合後、日本のアルベルト・ザッケローニ監督は「今日の試合を通じて課題は明確になったと思う」と語る一方で、「セルビアに対して、これだけの内容で戦えたことに関してはポジティブにとらえている」と、一定の評価を与えた。

課題は明確になったと思う

――試合の感想と、リードされた展開で3−4−3の選択を考えたかどうかを教えてほしい

 たとえアウエーの戦いになろうとも、いつもどおりのプレー、また勇気とバランスといういつもどおりのコンセプトで試合に臨もうとチームには話をしていた。それに関しては、選手たちは私のリクエストどおりにやってくれたと思う。試合開始数分で、徐々にうちのペースとなり、ウチの方がボールをキープする時間が長くなったし、チャンスを作ったと思っているが、それを決めきる力がなく、いつものようにチャンスの数にゴールの数が結びつかなかった。逆にセルビアは、ファーストチャンスをゴールに結びつけた。そういった中で、今日の試合を通じて課題は明確になったと思う。

 ただセルビアに対して、これだけの内容で戦えたことに関してはポジティブにとらえている。彼らは欧州では強豪チームに入るし、クオリティーに溢れ、フィジカルと技術に優れた選手がいる相手に対し、内容で上回ったことについてはポジティブにとらえている。この試合を通じて分かっていたことだが、自分たちが高めていかなければならないのは、少ないチャンスでゴールを決めきることだ。

 今日の試合では、セルビアとのフィジカルの差は、リスタートで大きなピンチなく対応できていたし、中央突破の場面でもバイタルエリアでやられたという記憶もない。そこでは狙い通り(相手を)抑えられたが、個人的には今日の試合は0−1のスコアだったと思っている。最後の2失点目は、引いても仕方がない状況だった。当然、すべてのチョイスを考えた。3バックのシステムも頭をよぎったが、チームが非常にいい状態でプレーをしていたと思うし、チャンスも作れていたので(システムを)変える必要はないと判断した。

 今日のような試合で内容で上回って、ポゼッションやボール回し、あるいはサイドでも中央でも球際でも、われわれの方が上回っていたという内容の中での敗戦の場合、それを冷静に分析してうまくチームに伝えることが求められる。それは監督をやってきて一番難しい仕事だ。よく「インターナショナルの経験を高めるため」という話をするが、今日のような試合でも、たとえば彼ら(セルビア)の場合、自分たちの状態が悪い時に簡単にファウルをして止めたりすることがあるが、そういった部分をいい意味で学ばないといけない。

 まとめると、結果だけはネガティブだったが、アウエーの地でこれだけの内容で、対戦相手の実力を考えるとポジティブな内容だったと思う。今日のゲームはフレンドリーだが、本番は結果が求められる戦いになるので、そういった意味で課題は修正していかないといけない。本大会に向けて、自分たちがやらなければならない課題は明確に出てきたし、方向性が決まっているので、それらを解消していくだけだと思う。

特定の選手をクラブに推薦することはない

――スタンコビッチの引退試合についての感想は(セルビア人記者)

 数カ月前に彼が引退を決めたと聞いたときは、これだけ優秀な人材を失うのはサッカー界にとって残念だと思った。彼はここ20年で攻守ともに高いレベルをこなしてきた優秀なプレーヤーだったと思っている。数年前まではセリエAが世界最高峰だったが、多くの実力者がひしめきあう中で彼は特別な輝きを放っていた。

――前半、相手のサイドの守備を打開できないようだったが、ハーフタイムでどのように改善していこうと思ったのか?(大住良之/フリーランス)

 ピッチ全体をカバーするのは難しい。彼らはサイド、特にウチの左サイドをケアしようとしていたが、右は内田が何度かいい侵入をしていた。逆サイドの方は、マンツーマンで長友を見ていたので、なかなかうまくやらせてくれなかったが、サイドを押さえられるということは、逆に中が空くわけで、そこのところは良かったと思う。

――本田圭佑は、ミランのようなイタリアのビッグクラブに推薦できる選手だと考えているか。また、次期イタリア代表監督に興味があるか(イタリア人記者)

 どちらの質問も難しい。1つ目だが、本田だけでなく代表監督がチームに選手を推薦するのはあり得ないことだ。たとえば今の日本代表は、欧州のほとんどのクラブが選手を注目して見るような環境は整っているし、それくらいのツールを持ったクラブばかりだと思う。日本代表候補になるような選手は皆、スカウトの目にさらされている。また日本代表の中にも、海外に行った選手が国内組に対して欧州の情報を交換しているので、その意味では日本代表の選手も欧州の情報をよく分かっていると思う。いずれにせよ本田に関しては、他の選手と同様、チームに推薦するようなことはない。

 2つ目だが、現時点では私は日本代表に集中している。このポジションに満足しているし、この国のことが大好きだ。就任当初に思っていた時よりも、その思いは大きく上回るくらい、今の仕事に魅力を感じている。少なくとも2014年のワールドカップが終わるまでは、この仕事に情熱をもって従事したい。

<了>

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