田中将大、シーズン「25勝0敗」の現実味=元楽天・山村宏樹が解説

構成:スポーツナビ

岩隈の後継として、芽生えたエースの自覚

優勝間近チーム全体のモチベーションも高く、シーズンを無敗で終える可能性も 【写真は共同】

――昨季、岩隈久志投手(現、マリナーズ)が移籍したのも田中投手の意識変化に影響したのでしょうか?

 それはあると思います。昨季はその気持ちが空回りしている様子でしたね。「エース・岩隈」の後を継ぐというところで、負担になったのかなという部分が見受けられました。一人の大黒柱として迎えた昨季、10勝4敗と勝ち星に恵まれませんでしたし、「1年間ローテーションを守らないとエースではない」という気持ちが田中投手の中に芽生えたように思います。

――田中投手にとって、岩隈投手の存在とはどんなだったのでしょうか?

 大きな存在だったと思いますよ。年齢が上ですし、実績も近鉄でエースとして活躍していたものがありました。勉強することがあったと思います。あと、岩隈投手の存在感は投手陣にとってすごくありましたから。
 田中本人も「岩隈さんから学んだことは多かった」と言っていますし、昨季から「エース・田中」と言われるようになったのですから、気持ちの上での変化が絶対にあったと思います。

――現在、岩隈投手が2008年にマークした21勝に並び、次回登板で「岩隈超え」になりますが。

 田中投手本人は記録のためにやっているわけではないと言っています。ただ、野手陣から「今季、田中を負けさせない」という発言をよく聞きます。なので、田中投手以上に、野手からあと3〜4試合の登板、「俺らが援護して田中に勝ちをつけて、田中に負けを付けずに終わらせたい」という意気込みが伝わってきます。21勝以上するというよりも、チームはいま、「0敗で終わらせたい」という雰囲気に包まれています。

「0敗」でシーズンを終える可能性は大いにある

――今後、さらに連勝記録を伸ばすことができるでしょうか?

 しっかり準備をして毎回同じようにマウンドに上がれる田中投手がすごいなと思います。1年間、毎日同じようなルーティーンを実行し続けることは非常に精神的にきついのですが、今季、田中投手が毎日、できていることで連勝記録がつくれたのだと思います。今後もこれが続けられている限り、連勝記録が伸びていく可能性があります。また、「野球は1人ではできない」ということを本人が自覚していることが大事だと思います。100年に一度の記録、あらためて田中投手のすごさを証明したと思います。

――各チームが「ストップ・ザ・マー君」を掲げながら、勝てている要因をどう見ていますか?

 相手がどうのこうのっていうのは今季、まったく感じさせませんよね。自分の投球をその日の状態によってするということで、相手が良い投球をしても、田中投手はそれ以上の準備をしています。誰が来ても目の前のバッターを抑えることに集中していて、メディアなど周りが騒いだところで、いまの田中投手の心は揺らぐことがないですね。

――今季の残り登板数は3〜4試合、すると「25勝0敗」の可能性が見えてきたと思いますが、その可能性をどう見ていますか?

 25勝というよりも「0敗」でシーズンを終える可能性は大いにあると思います。チームの中に「田中を負けさせない」という機運が高いです。残り2〜3試合になると、シーズンの集大成ということもあり、これまで以上の投球が出るものですから、無敗でシーズンを終えられるかもしれません。

 さらに、チームとしても優勝の可能性があるわけで、チーム全体のモチベーションが高いことも後押しになると思いますし、それが勝ち星に結びついていく可能性もあると思いますよ。

<了>

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