上原浩治は野球が純粋に好きな子ども=巨人の先輩・橋本清が語る魅力
連続打者アウト&無失点試合記録で日米を沸かせた上原。その素顔は「純粋な野球少年」と橋本氏は語る 【写真は共同】
「負けたくない」という反骨心が上原浩治を支えている
究極の負けず嫌いです。気持ちが表情やプレーに反映されるタイプの選手ですね。コメントも負けん気の強さが出ていますよね。ただ、聞く人によってはひねくれているな、と感じる人もいるかもしれませんが。
負けたくないという気持ちの強さは彼の野球人生から来ているように思います。高校時代は建山義紀(現、ヤンキース3A)がエースでしたし、彼がクローズアップされ始めたのは大学の途中、キューバ相手に先発して勝ってからです(インターコンチネンタルカップ決勝)。なかなか世代のトップとして注目されてこなかったので、「負けたくない」という反骨心が上原浩治を支えていると思います。
――今回、37者連続アウト、27試合連続無失点をし、大リーグ記録に迫りましたが。
この記録の背景には、2011年のポストシーズンで史上初となる3戦連続被弾をしたことがあると思います(当時、レンジャーズ)。「もう上原も厳しいかな」と、日本でも限界説が流れましたが、上原投手の中で「まだまだやれる」という気持ちが大きかった。連続被弾がその後の彼の活躍の、大きなきっかけとなったと思います。
野球が純粋に好きな、野球少年
気合いの入ったハイタッチは、もはや恒例! 左が上原、右は一塁手のナポリ 【写真は共同】
目標をしっかり立てて、一心不乱に目標達成へ向けて取り組めるところだと思います。目標達成のためには、野球以外のことにも興味を持って実行するところはすごいと思います。
彼は主役になりたいんだなと見ていて感じます。誰かの支えになるとか、寡黙に野球道を進むのではなく、存在感を出して「俺は主役だ」と真ん中にいたいタイプですね。それが結果を残し続ける彼の強みだと思います。
――巨人時代ではベンチの敬遠指示に涙するようなシーンもありましたが?
とても純粋で、ある意味、子どもっぽいところもありますね。野球が純粋に好きな、野球少年なんですよね。ジョークを言うし、性格も明るい。関西人だから、何か面白いことを言おうとしたりするちゃめっ気があります。
童心を常に持って野球に取り組んでいるので、敬遠の場面、「僕は勝負したいのに……負けないのに……」という気持ちが涙という形で現れたのだと思います。これまでの野球人生、逃げてこなかった人だから、敬遠によって、逃げていると捉えられることが嫌だったみたいです。