上原浩治は野球が純粋に好きな子ども=巨人の先輩・橋本清が語る魅力

構成:スポーツナビ

田沢から受けた刺激が今季の成績に

記録は途切れた上原だが、チームはまだまだ首位を快走。ポストシーズンへ向けて、次戦からの活躍にも期待だ 【Getty Images】

――記録が止まった18日の試合後、「周りが言うほど、記録は意識していなかった。負けたことが悔しい」というコメントを残しました。

 誰かに負けることが何より嫌いな上原投手ですから、彼の性格がよく現れた上原投手らしいコメントだと思います。ただ、記録を狙えるところにいたのだから、個人の目標として、記録は狙っていたようにも思います。というのも、クローザーとしてチームが勝ち続けることはイコール、自分の記録を伸ばすことにつながることであり、チームが負けることイコール、自分の記録が途絶える時だと分かっているからです。

――上原投手の性格として、クローザーという役割は合っているのでしょうか?

 とても合っていると思います。強気で気持ちを切り替えられる術を持っていますし、技術的にはコントロールが良いし、三振を取れるボールもあります。
 また、同僚に田沢(純一)投手がいるのも上原投手にとって張り合いがあるのだと思います。日本人で、しかも後輩の田沢投手に対して「若いやつには負けられない」という気持ちが強いと思います。シーズン開幕前、トミー・ジョン手術から復活した田沢投手への期待が上原投手よりも高かったわけですから。さらに、いまは抑えを上原投手が務めていますが、上原投手の前に田沢投手が務めていたわけで、上原投手の心に「くそー」という気持ちがあったはずです。上原投手はいまも、決して順調に来たわけではなく、自らの力で自分のポジションを勝ち取ってきた訳です。今季の好成績に、田沢から受けた刺激も必ずあると思いますよ。

好調の要因は腕の振りのシャープさ

――巨人時代もご自身のことを「雑草魂」とおっしゃっていましたが、すべて反骨心を力に代えてきたのが上原投手ですね。

 悔しいから頑張ろうと思っても、それを力に変えられる人はごくわずかです。上原投手は悔しさを力に代えて、成績につなげる能力が非常に高いと言えます。

――メンタルの強さも、上原投手が好成績を挙げ続けられる理由のひとつですか?

 上原投手は「まあ、いいか」ということが絶対にありません。自分が目標と設定したことに対して、最後まであきらめずブレないですね。
 ただ、それというのは、子どもっぽいところでもあります。思ったことは絶対にやらないと気がすまない。例えば、おもちゃがほしいから頑固にぐずるような感じでしょうか。喜怒哀楽もはっきりしていますし、もっと人に対してしっかり接しなさいと思いますが、そんな一面も持ち合わせているから、愛らしくもなる。上原投手の魅力のひとつだと思います。

――今後の上原投手に期待することは?

 ずっと肘の故障に悩んでいましたが、いま見る限り、技術的には腕の振りがシャープになりましたね。それが続く限り、好成績を続けられるでしょう。
 145キロ前後のストレート、フォークを巧みに使い分けられていますし、もともと今季くらいの成績を収められる力がある選手ですので、このままの成績を続けてワールドチャンピオンになってほしいと思います。
 彼にはポストシーズンで2年前、3被弾したリベンジもあります。ぜひポストシーズンで力を発揮してほしいと思います。

<了>

2/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント