山瀬功治が京都にもたらした武器=システム変更を機に発揮された攻撃力
補強の目玉として注目される存在
パスをつなぐ京都のサッカーにおいて、山瀬のドリブルで仕掛けるスタイルは異端だが、それが逆にアクセントとなっている 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】
今季、京都には9選手が新たに加入。J1の強豪クラブを渡り歩き、元日本代表の経歴も持つ山瀬は補強の目玉として注目される存在だった。激戦の末に3−3で引き分けた開幕戦のガンバ大阪戦では果敢なドリブルで攻撃に勢いをもたらし、一時は2−2の同点に追いつくシュートを決めるなど、早速その実力を披露した。
たが、続く第2節の東京V戦で右ひざを負傷。次にピッチに立ったのは第11節のジェフユナイテッド千葉戦と、復帰まで1カ月半を要している。5月の大型連休以降はコンディションや試合勘が戻ってフル出場が続いたが、前半戦は全21試合中13試合に出場して2得点。チーム自体が苦しみながら勝ち点を積み重ねるケースが目立つ中、山瀬自身もピッチに立てば質の高いプレーを見せていたとはいえ、どこか煮え切らない試合が続いていた。
転機となったのは前半戦最後の試合となった6月29日の第21節の栃木SC戦だ。スイスのヤングボーイズへ移籍した久保裕也の国内ラストマッチとして注目を集めた一戦で、大木武監督はシステム変更という決断を下している。その1週間前の第20節の水戸ホーリーホック戦をホームで落としたことを受けて、「ここからもう一つギアを上げて、ターボをかけていく」(大木監督)と従来の4−4−2から4−3−3へ移行したのだ。
この試合は2−2の引き分け。一時は逆転しながら終了間際に追いつかれたことで後味は悪かったが、内容では攻守にアグレッシブなプレーが蘇るなど収穫の多い試合となった。山瀬は3トップの左に入って多くのチャンスを演出し、工藤浩平の得点をアシストするなど存在感を発揮している。そして、その翌週からの活躍は冒頭で述べたとおりだ。
転機となったシステム変更
山瀬についても同様だ。サイドハーフからウイングへ変わったことで、彼の持つ攻撃力がより発揮されるようになってきた。片方のサイドに人が密集して細かいパスをつないでいくスタイルが特徴の京都。4−4−2のサイドハーフでは組み立てに顔を出し、そこから前へ出ていくことが多い。チームがうまく機能している時は問題ないのだが、時には組み立ての仕事に多くの労力を割かれてしまい、肝心の高い位置での仕事が少なくなってしまう場面も見受けられていた。
それが4−3−3のウイングに入ってからは、仕掛ける場面が増加している。ポジションが一つ前に上がったことで、ゴールに近い位置でボールを受ける回数が増えたのだ。戦術的にも片方のサイドに人が集まるスタイルは継続しつつも、3トップ変更後はボールと逆サイドのウイングの選手は、時に外側へ張るような位置取りを取って意図的に孤立する。そこへボールが回ってくれば、1対1で勝負できるというという具合だ。