【Krush】野杁がリベンジ!久保を破って王座奪取=対抗戦は名古屋が東京に全勝

中村拓己

サウスポーからの蹴りが有効だった野杁

久保対策としてサウスポーに構えた野杁が3度目の対戦で初めて勝利した 【t.SAKUMA】

「Krush.32 〜in NAGOYA〜」が1日、愛知・名古屋国際会議場イベントホールで開催された。昨年に引き続き、2度目の開催となったKrush名古屋大会。今年も「TOKYO×NAGOYA・5対5マッチ」として東京と名古屋の選手たちが対抗戦で火花を散らした。

 その対抗戦で大将戦に組まれたのが王者・久保優太vs.挑戦者・野杁正明のKrush−67kg級タイトルマッチだ。久保は1.14代々木大会で行われた初代王座決定トーナメントで同王座を獲得して以降初の防衛戦、野杁にとっては初のKrush王座挑戦となる。

 また両者は2011年のK−1MAX−63kg級日本トーナメントの準決勝、そして今年5月のグローリー−65kg世界トーナメント決勝で2度の対戦経験があり、いずれも久保が判定勝利している。今回はトーナメントではなく、お互い万全の状態で戦えるワンマッチということもあり、事前のインタビューで両者は「今回はKOで仕留める」(久保)、「同じ相手に3回負けることはありえない」(野杁)とともに完全決着を誓っていた。

 世界一の座を争った両者の対戦とあって1Rからハイレベルな攻防で幕開け。普段はオーソドックスに構える野杁はサウスポーに構えを変えて、サウスポーの久保と対峙。久保が鋭いジャブからパンチで距離を詰めていくと、野杁はすかさず顔面とボディにヒザ蹴りを突き刺す。

 2Rも久保のパンチと野杁のヒザ蹴りが交錯するスリリングな攻防が続くなか、偶発的なバッティングが発生し、久保が右目を負傷してしまう。長時間のドクターチェックが入ったが、久保は試合続行を選択。再開後、久保はこれまで以上にパンチで前に出ていくと、構えを本来のオーソドックスに戻した野杁が右ミドルと右ストレートをヒットさせる。

 そして3R、野杁は右の顔面前蹴りや右ミドルで攻め立て、久保のボディに右のヒザ蹴りをグサリと突き刺す。たまらず久保は野杁にクリンチしてディフェンス。これまで何度かクリンチの多様で注意を受けていた久保だったが、これで痛恨の減点1を言い渡される。再開後、猛然とパンチで攻める久保に対して、野杁は冷静なブロックで反撃を許さず。野杁が判定3−0で久保を下して、第2代−67kg級王座に就いた。

二冠・野杁の目標は「GLORYのベルトを狙いたい」

第2代Krush−67kg級王座に輝いた野杁 【t.SAKUMA】

 三度目の正直で久保にリベンジを果たして新王者となった野杁。試合後は「今回、いろいろな人たちに協力してもらって、これで負けたら『どんな練習したらいいの?』というくらい追い込んだので、結果が出せて良かった」と安堵の表情を浮かべつつ「誰の挑戦でも受ける。これから僕が67kgのベルトをずっと防衛していきます」と長期政権を築くと宣言した。

 またバックステージで野杁は「以前、久保選手がサウスポーの卜部功也選手と試合をしていた時にやりづらそうにしていて、5月のGLORYで僕がサウスポーに構えた時もやりづらそうだった。それで今回は最初からサウスポーでいこうと思った」と構えを変えたのは久保対策だったことを明かし「リベンジできて素直にうれしい。熱くなって試合内容はあまり覚えていないけど、周りからは試合内容が良かったと言ってもらえた。たくさんのファンの前で三度目の正直を果たせてうれしい」と
喜びを語った。

 野杁は7月にNJKFのリングでWBCムエタイ日本スーパーライト級王座も獲得し、これで2冠王となった。今年はトーナメントを含めてすでに9試合を戦っており「ちょっと休んでから11月か12月に試合が出来たらいいなと思います」と次戦は年末になる模様。「Krushでは67kgのベルトを防衛して、チャンスがあればGLORYの65kgで世界のベルトを狙っていきたい」と更なる飛躍を誓った。

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著者プロフィール

福岡県久留米市出身。プロレスファンから格闘技ファンを経て2003年に格闘技WEBマガジンの編集部入りし、2012年からフリーライターに。スポーツナビではその年の青木真也vs.エディ・アルバレスから執筆。格闘技を中心に活動し、専門誌の執筆、技術本の制作、テレビ解説も務める。

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