「バルセロナには新しい風が吹いている」=宮本恒靖氏が振り返る王者の開幕戦
この試合で解説を務めた元日本代表キャプテンの宮本恒靖氏は、「守備の重要性に立ち戻ろうとしている印象を受けました」とヘラルド・マルティーノ新監督が指揮を執る、新生バルセロナについて語った。また、公式戦デビューとなった注目のネイマールのプレーぶりも振り返った。
守備の意識が途切れずうまく機能している
バルセロナの選手たちは代表戦などもある中、きちんとこの試合にコンディションを合わせてきて、持てるものをすべて出していたと思います。特にアレクシス・サンチェスのパフォーマンスが良かった。開始2分30秒(編注:公式記録では3分の表記)で先制点が入るとは思っていませんでしたね。ネイマールが入ったことで、前線の選手たちは結果への気持ちが強くなったと思います。
――マルティーノ新監督の公式戦初陣となった開幕戦は、前線からの守備が印象的でした
プレシーズンマッチの映像を見てもそのように感じていましたが、この試合も同じでしたね。ジョゼップ・グアルディオラ元監督時代、良かったときに実践していたプレスに近かったです。キーパーが短いパスを出したときやバックパスに対して、リオネル・メッシなりセンターFWの選手が寄せるという決め事がありました。
――一番強くてファンタスティックだったころのバルセロナに近くなっている?
そう思います。守備の重要性に立ち戻ろうとしている印象を受けました。
――あれだけリードをしながら、最後まで守備の意識が途切れなかったことも特筆に値すると感じました
それを厳しく求める監督なのだと思います。選手たちは、やらなければ試合に出られないという感覚でプレーしていると思うし、この試合を見る限りではそれがうまく機能していると感じます。
――試合中の解説で、選手間のイメージの共有もポイントとして挙げられていましたが?
例えばシャビがボールを受けたとき、走り込んだら絶対に出してくれるなど、それぞれの選手が持っている動きの質と決断の共有ですね。あるいはメッシとセスク・ファブレガスの関係性にも当てはまりますが、プレーのイメージがバルセロナにはあって、それがゴールシーンの多さにつながったのだと思います。
ネイマールの良さを出すには周りの理解が不可欠
カンプノウでの開幕戦の雰囲気にのまれてしまった印象です。もう1つこの試合のポイントを挙げるならば、ボランチのポジショニングですね。前半のように下がってしまうと、スペースを自由に使われてしまうのでああいった結果になってしまうと思います。
――DFの視点から、バルセロナを封じるために最初に心がけることとは?
かなり難しいですね。ハーフタイムの特集の中で(中村)俊輔も話していましたが、寄せても、後ろを向いてバックパスしてくれると思った瞬間にターンでかわされてしまう。そこでターンをさせないように、ボールを後ろに返させる守備を徹底することがまず大切だと思います。
――注目のネイマールが公式戦デビューを果たしました。どういった印象を持たれましたか?
もう少し中に入ったり自由にプレーするものと思っていましたが、この試合では途中から左に張っていましたね。出して受けてを繰り返す、流れのあるプレーが一番の持ち味だと思います。最後にセスクが浮き球でチャンスを作りましたが、ああいったプレーを周りの選手たちが理解して作っていければ、もっと良さが出てくると思います。
――バルセロナは第2節のマラガ戦を前に、アトレティコ・マドリーとのスーペルコパ・デ・エスパーニャを挟みます(結果は1−1で引き分け)
バルセロナには新しい風が吹いている気がします。競争があることで、「やらなければ」という気持ちも見て取ることができました。それらが良い方向に運べば、今シーズンも面白くなると思います。
<了>
提供/WOWOW
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