松山英樹、海外メジャーで見せた不動心=今季参戦した3大会を振り返る
快進撃が始まった全英OP予選
今季、参戦した海外メジャー3大会で数々の困難にも動じない心を見せた松山 【Getty Images】
『全米オープン』10位タイ、『全英オープン』6位タイ、そして今回の『全米プロゴルフ選手権』と今季参戦したメジャーすべてで予選を突破したばかりか、どの試合も最終日に順位を上げているところが松山のすごさだ。
2月28日、3月1日の両日、タイのアマタスプリングスで行われた『全英オープン』のアジア地区最終予選が快進撃の始まりだった。上位4人が全英出場権を得られるこの大会で、首位こそタイのキラデク・アフィバーンラト(13アンダー)に譲ったものの松山は9アンダーの2位でその切符を手に入れた。松山がこの大会に出るのは3度目。昨年は最終ホールで痛恨のトリプルボギーを叩き、無念の涙を飲んだ大会でもあった。
好結果の全米OPでは冷静な自己分析
「出られるのはうれしいですけど、海外メジャーで勝つのが目標ですから」と松山はこの日のインタビューで語っていたものだ。
6月14日、『全米オープン』初日は2回も試合が中断する大荒れの天候で、午後スタートだった松山は7ホール目で日没を迎え、2日目に29ホールをプレーして6オーバーの暫定73位タイと予選通過の60位には程遠い位置で3日目を待つことになった。この時点で2ラウンド目をスタートしていない選手もいるほど進行が遅れ、3日目になるまで当落が分からなかったのだ。天候は回復したもののコースコンディションに苦戦する選手が続出し、結局予選ラウンドの結果が出てみれば、松山の順位は37位となっており、楽々と予選を突破していた。
3日目は「チャンスにつけても外してストレスが溜まって立て直せなかった」(松山)とパットの不調が足を引っ張り10オーバーの39位タイと後退。しかし、ここから松山は底力を発揮する。最終日は6バーディ、3ボギーでベストスコアタイとなる67を叩き出し10位タイへ食い込み、翌年の同オープンの出場権を掴み取った。
だが松山は浮かれてはいなかった。「プレッシャーのない位置にいたからこそいいスコアが出せた。もっと上位で同じようなプレーができるのかと言われれば微妙」と冷静な自己分析を忘れてはいない。
全英OPで見せた切り替えの早さ
切り替えが早いのも松山の特技でもある。迎えた最終日、ギャラリーから「スピードアップ!」と声が掛かると、松山は走るそぶりで笑いを誘うほどの余裕を見せていた。2バーディ、1ボギーで4日間通算2オーバーの6位タイ。「17、18番を取れればプレーオフのチャンスも残ると思ったたんですが」と松山。しかし、5打差から66をマークして通算3アンダーの大逆転劇を演じたフィル・ミケルソンに対しては「ミケルソンにもショットは負けなかったけど、パットは差がある。今回は優勝争いに加われたとは思わない」とさすがに脱帽した様子だった。
シード権獲得の重圧に負けなかった全米プロ
この大会での松山の目標は25位以内。PGAツアーの125位以内に相当する賞金額に達するからだ。そんなプレッシャーがあったのか、3日目は73と崩れて38位タイへ後退。しかし、ここからが並みの若手とは違うところだ。最終日は6バーディ、2ボギーと巻き返し19位タイへ浮上して、あっさりと目標をクリアしてみせた。
悪天候の洗礼を受けた『全米オープン』でも、理不尽とも思えるペナルティを課された『全英オープン』でも、松山は動じなかった。そしてPGAツアーのシード獲得というプレッシャーにも潰されず『全米プロ選手権』を戦い抜いた。
「まだ自分に足りないものはたくさんあります」と言う松山の進化はまだまだ続く。PGAツアーは装いも新たに10月2週目から新シーズンに入る。日米を股に掛けて戦う姿勢を見せている松山がどんな活躍を見せてくれるのだろうか。
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