山田大記が秘める“夢舞台”への思い=代表入りへ、正念場を迎えた司令塔
C大阪戦で見せた神がかり的なパス
低迷する磐田をけん引する山田。東アジアカップでの代表入りはあるのか 【写真:アフロ】
新潟戦では同点ゴールの起点となって、終盤の逆転劇を引き寄せたが、圧巻だったのは1節前のリーグ中断明け初戦となった6日のセレッソ大阪戦だった。1点ビハインドで迎えた後半15分、ゴール前で受けたボールをノールックでFW前田遼一にヒールパス。「受ける直前に確認し、移動した位置を予測して出した」絶妙ラストパスは、ドンピシャリで前田の足元へ。神がかり的な技ありプレーでの演出は、リーグ中断中にワールドカップ(W杯)・ブラジル大会出場を決めた日本代表のエースでもあるチームの大黒柱への祝福でもあった。
チームを押せ押せムードに導くと、そのわずか1分後には自身が今季チーム最多となる6点目で一時は逆転した。残念ながらその後に追いつかれ試合はドローで終えたが、湿度92%の蒸し暑さの中で、次節新潟戦につなぐ貴重な勝ち点1の獲得に貢献。いつもは選手個人の評価をしない指揮官も「見事なパスとゴールだったし、90分間よくボールを追いかけてくれた」と、献身的な姿勢に賛辞を送った。
「ラストに近いチャンスかもしれない」
そんな山田にはいま、大きなチャンスが控えている。今月に韓国で開催される東アジアカップでの代表入りだ。以前から代表選手は国内組で構成されることが明言されており、リーグ戦の活躍もあって周囲の期待がにわかに高まってきた。これまで目の上のコブとして立ちはだかってきた海外組の不在が、間違いなく追い風になるからだ。もちろん代表入りの確信はない。だが「ここで選ばれないと厳しくなる」とし、来年のW杯最終メンバーに残るためには「ラストに近いチャンスかもしれない」と、すでに正念場だと認識。「入らなければいけない」と位置付けている。
山田はこれまで代表に関しては「あまり気にしていない」とする程度で、多くを口にしてこなかった。ところがリーグ戦再開を1週間ほどに控えた練習後に囲んだ顔見知りの記者に問われると、前出の思いを一気に披露。「(代表に関して)気にしていないということを、興味がないとかあきらめたなどと誤解されたくない」と、あらためて湧き上がる代表への強い思いからだった。
しかし、代表を意識し過ぎてもプラスになるとは限らない。以前には意識し過ぎてか「プレーが空回りしたこともあった」と振り返る。それからは「呼ばれたいとは思うけど、選手を選ぶのは自分の仕事じゃない。自分でコントロールできないことをあれこれと考えても仕方がない」と思うようになった。「いまはチームで良いプレーをすること」とリーグ戦に集中する。その姿勢が、チームでの貢献度をさらに高めているという周囲の声も少なくない。