高校サッカー指導者が語る日本代表の課題=世界との差は育成環境の整備が埋める
「チームプレーの重要性を確認できた」
成立学園の宮内聴総監督は、今の日本に必要なFWは佐藤のような2列目と連係が取れる選手だと話した 【Getty Images】
その前提を踏まえた上で、今回は「育成」視点でコンフェデ杯の日本代表、CBとFWの育成法について考えていきたい。そのために話を聞いたのが今年度の夏の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)で東京都代表となった成立学園高校と國學院大學久我山高校の指導者だ。大津祐樹(VVVフェンロ)の母校である成立学園の宮内聴総監督はコンフェデ杯での日本代表の3試合を見て、「改めて日本のストロングポイントであるグループ、チームでプレーすることの重要性を確認できた」と語る。W杯出場決定後に本田圭佑(CSKAモスクワ)が「いかに個を高めるか」という発言をしたことを受けて宮内総監督も「個の力が上がった上での組織」であることは十分に理解している。しかし、「代表になってからでも遅くはないのだが、世界との戦いを視野に入れたときには育成年代で世界との差を埋めるべく個人を鍛える必要がある」と指摘する。
FW育成で大切なこと「蹴り込む」
「ポストプレーヤー、ターゲットになるFWも必要かもしれませんが、私は日本のスタイルを生かしたセンターフォワードを見たい人間です。前線で張り付くことなく、動きの中でサッカーをやるというか、日本の持ち味である2列目の選手との連動性でボールを受け、相手を撹乱する、よく言われるように佐藤寿人(サンフレッチェ広島)のようなセンターフォワードですね。そうなってきたときには当然大津のような選手も(FWのリストに)入ってくると思います」
ただ、宮内総監督がFW育成で大切にしていることは他のポジションと変わらず「蹴り込む」こと。「FWの選手には高校3年間でいろいろなイメージを持たせてシュート練習させますが、どういうイメージのシュートを打つか以前にボールをより強く、より遠くにキックできるかどうかが大切です。成立の指導者間では『蹴り込む』という表現を使うのですが、蹴り込んだ選手は間違いなくキックの精度が上がりますから、シュートの精度も上がります」