巨人に“不動の正二塁手”が出てこない理由 仁志敏久氏が語る「育てる難しさ」

ベースボール・タイムズ

巨人に“不動の正二塁手”が出てこないのはなぜ?(写真右は巨人時代の仁志氏) 【写真は共同】

 巨人には、2000年代後半から抱え続けている課題がある。それは、正二塁手という存在がいないことだ。今季も脇谷亮太、寺内崇幸、藤村大介、立岡宗一郎といった面々が起用されるも、交流戦を終えようといういま、まだこのポジションを勝ち取り、レギュラーの座を得ている選手はいない。

 過去10年で4度のリーグ優勝を成し遂げているチーム状況ながら、正二塁手が出てきていない現状を、かつて巨人不動の正二塁手として活躍した、仁志敏久氏に語ってもらった。

セカンドは特殊なポジション

――今年も首位争いを繰り広げている巨人ですが、レギュラーが固まっているわけではありません。特に、セカンドというポジションが今年も流動的ですが?

仁志「常に勝ちが求められる状況で、セカンドっていうポジションは育てるのが難しいと思います。ある種、特別な育て方をしないと本当のセカンドにならないんです。求めるものによりますけど、内野のうちの一人というよりは、“セカンド”として、育てていかないといけないと思っています。キャッチャーと同じ感じかもしれません」

――どういったところが特別なのでしょうか?

仁志「カバーリングなど、単純だけど欠かせない動きがそもそも多いといった部分と、ポジショニングなどの制限が内野の中では少ないんですね。ですから、突き詰めていくと、いろいろなプレーができる。だけど、その一方で、ある意味誰でもそれなりにできてしまうポジションなんです。いまでもそうですけど、プロのセカンドって、アマチュア時代にショートをやっていて、守備には定評がある選手がチーム事情でセカンドに“流れて”くることが多いんです」

――たしかに、ショートと兼任の選手などが多いです。

仁志「そうなんですよ。アマチュア時代にセカンドを守っていて、そのままプロになってくる選手ってあまり多くないんです。どのポジションでも言えることですが、セカンドにはセカンドの難しさがあって、それも奥が深い。それはそのポジションでの経験が多くないと分からないですから、突き詰めないといけないんです」

――仁志さんご自身はプロ入りする前はサードを守られていました。まさに、プロでコンバートされてセカンドになった選手の1人だと思いますが?

仁志「はい。だからこそ、身に染みて良く分かっているつもりです。しかも、僕はアマチュア時代、実は守備が苦手でした。大学まではショートをやっていましたが、社会人では失格の烙印を押されてサードにコンバートされた経緯もあったので、おそらくいまセカンドにコンバートされている選手たちとはアプローチが違うんですよね」

――仁志さんが守備が苦手だったとは意外です。

仁志「苦手意識があった中で、プロに入ってセカンドに挑戦することになったので必死でした。僕の場合はセカンドで活躍しなければ出番がやってこないチーム状況でしたからね。一からのセカンドの守備を、当時コーチを務めていた土井(正三)さんに、みっちり教えてもらえたというのが、僕がセカンドで戦えた理由だと思います」

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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