巨人に“不動の正二塁手”が出てこない理由 仁志敏久氏が語る「育てる難しさ」
巨人に“不動の正二塁手”が出てこないのはなぜ?(写真右は巨人時代の仁志氏) 【写真は共同】
過去10年で4度のリーグ優勝を成し遂げているチーム状況ながら、正二塁手が出てきていない現状を、かつて巨人不動の正二塁手として活躍した、仁志敏久氏に語ってもらった。
セカンドは特殊なポジション
仁志「常に勝ちが求められる状況で、セカンドっていうポジションは育てるのが難しいと思います。ある種、特別な育て方をしないと本当のセカンドにならないんです。求めるものによりますけど、内野のうちの一人というよりは、“セカンド”として、育てていかないといけないと思っています。キャッチャーと同じ感じかもしれません」
――どういったところが特別なのでしょうか?
仁志「カバーリングなど、単純だけど欠かせない動きがそもそも多いといった部分と、ポジショニングなどの制限が内野の中では少ないんですね。ですから、突き詰めていくと、いろいろなプレーができる。だけど、その一方で、ある意味誰でもそれなりにできてしまうポジションなんです。いまでもそうですけど、プロのセカンドって、アマチュア時代にショートをやっていて、守備には定評がある選手がチーム事情でセカンドに“流れて”くることが多いんです」
――たしかに、ショートと兼任の選手などが多いです。
仁志「そうなんですよ。アマチュア時代にセカンドを守っていて、そのままプロになってくる選手ってあまり多くないんです。どのポジションでも言えることですが、セカンドにはセカンドの難しさがあって、それも奥が深い。それはそのポジションでの経験が多くないと分からないですから、突き詰めないといけないんです」
――仁志さんご自身はプロ入りする前はサードを守られていました。まさに、プロでコンバートされてセカンドになった選手の1人だと思いますが?
仁志「はい。だからこそ、身に染みて良く分かっているつもりです。しかも、僕はアマチュア時代、実は守備が苦手でした。大学まではショートをやっていましたが、社会人では失格の烙印を押されてサードにコンバートされた経緯もあったので、おそらくいまセカンドにコンバートされている選手たちとはアプローチが違うんですよね」
――仁志さんが守備が苦手だったとは意外です。
仁志「苦手意識があった中で、プロに入ってセカンドに挑戦することになったので必死でした。僕の場合はセカンドで活躍しなければ出番がやってこないチーム状況でしたからね。一からのセカンドの守備を、当時コーチを務めていた土井(正三)さんに、みっちり教えてもらえたというのが、僕がセカンドで戦えた理由だと思います」