巨人に“不動の正二塁手”が出てこない理由 仁志敏久氏が語る「育てる難しさ」

ベースボール・タイムズ

巨人でセカンドが出てこない理由

――そんな特殊なポジションで、巨人でレギュラーが出てこないのはなぜでしょうか?

仁志「まずはチーム状況ですよね。近年はチーム状況が良くて、先ほども言いましたけど常に勝ちが求められる環境にあります。となると、まずはチームに貢献できるだけの打力というのが絶対的に必要です。そこでアピールできる選手がなかなか出てきていません」

――打のほうでも活躍しなければならない?

仁志「いけないわけではないんですが、求められますよね。また、ただ打てればいいというわけでもないんです。ここで重要となってくるのが打順なのですが、ジャイアンツではセカンドの他、2番というのも固定できずにいます。そういう状況が重なって、2番・セカンドという起用が前提になりがちなんですけど、2番という打順もいまの巨人だと、いわゆる小技の利く2番が求められがちなので、どうしても打力がそれを求められがちです。ですから、結果が出ないときは調子の良し悪しで下げられてしまう。だから固定できない。そんな悪循環があると思います」

――固定できる選手が出てきてほしい?

仁志「当然そうですよね。原監督もそういう選手の誕生を待ち望んでいると思います。在籍しているころから感じていたことですが、巨人っていうチームはなかなか新しいことに挑戦しにくい部分がある。その中で、いわゆる日本的な2番打者を置かないといけない雰囲気がありますけど、打力がある打者を2番に据えて、下位で制限の少ない場面でセカンドの選手を育てる起用するというのも、面白いと思います」

固定できればさらに強くなれる

――セカンドというポジションが埋まれば、巨人はさらに強くなりそうです。

仁志「本当にそうですね。野球において、センターラインというのは非常に重要なんです。近年のジャイアンツは、優勝できる強さがありながらそこが固まっていない弱さがありました。キャッチャーに(阿部)慎之助、ショートに坂本(勇人)っていう絶対的な存在がいるので、セカンドが固まってくればチームとしては非常に大きいと思いますよ」

――センターラインが固まると、チームは強くなる?

仁志「間違いないと思います。ショートとセカンドの守備の連係や、センターとのポジショニングなど、固定したメンバーで出続けることで、レベルを上げられるプレーもたくさんありますからね。実際、僕もプレーしていて日本一に輝くことができた2002年のメンバーっていうのは、打順は変わることがあっても、スタメンででるメンバーはほとんど一緒でした。あのときっていうのは本当に強かったですし、質の高い野球ができていたと思います」

――チーム全体を固定できるのが理想的ですか?

仁志「できることなら、ですけどね。少なくとも上位打線と、センターラインは固まってほしいところです。今年でいうと、好調な阪神はまさにそこが固定できてから強くなっていると思います」

――巨人もそうできることが望ましい?

仁志「そうですね。いまのジャイアンツでいうと、慎之助、坂本、長野(久義)が中心といって間違いないでしょう。長野の調子がいまいちな今、できればあと一人か二人は固定できる選手が出てきてくれると、チームがどっしりとしてくると思います」

――そういう選手の誕生こそ、連覇へのカギでしょうか?

仁志「そう言えるでしょうね。そして、そのもう一人の選手がセカンドだと、僕もうれしいですね」

<了>

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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