打線低迷ヤンキース“再出発”の行方は? チーム急降下、イチロー起爆剤になれるか

杉浦大介

得点ペースは1992年以来最低

現地時間2日の首位攻防戦で無念の降板となった黒田、しかし投手陣は責められない 【Getty Images】

 好材料は、これらの穴埋め野手たちがジリ貧に陥ると同じタイミングで、テシェイラ、ケビン・ユーキリスといった故障離脱していたメンバーが戻って来たこと。加えてカーティス・グランダーソン、エデュアルド・ヌネスらも遠からず復帰が期待できる。より重傷のデレク・ジーター、アレックス・ロドリゲスが今季に何らかの形で貢献できるのかは不明だが、いずれにしても今後に少しずつ2013年版ヤンキースの陣容が整っていくことになる。

「今はチーム全体が苦しんでる。加えて今夜はとても良い投手と対戦してしまった。願わくば明日には調子が取り戻せると良いね」
 2日のレッドソックス戦後にそう語っていたジラルディ監督からは、まだそれほどの危機感は感じられなかった。苦しいやりくりを余儀なくされた序盤戦の成績はまずは御の字で、本来の主力たちを軸にした本当の戦いがこれから始まるという思いも指揮官の中にはあるのかもしれない。

 ただ……ケガ人が帰還し始めたからといって、“再出発”を切るヤンキースが良い方向に進んで行く保証があるわけではもちろんない。これから先も、このチームがどこに向かって行くのかの予測は極めて難しい。
 復帰直後は錆び付きが目立ったテシェイラ、ユーキリス(レッドソックス3連戦ではともに9打数1安打)は、徐々に調子を取り戻していけるのか。ウェルズ、ハフナーらにもうひと頑張りする力は残っているか。グランダーソンの再度の故障で出場機会減少の危険がとりあえず去り、5月16日以降は43打数15安打と復調気配のイチローは、昨季後半のように打線の起爆剤になれるのか……?

 アンディ・ペティットの健康状態、フィル・ヒューズの不調を始め、投手陣にももちろん不安材料はあるが、打線はそれ以上に未知数。少なくとも現時点での得点ペース(シーズン670得点の計算)は674得点に終わった1992年以来最低であり、ここ18年で最少だった2008年の789得点をも大きく下回る。そしてその2008年に、ヤンキースが13年振りにプレーオフ進出を逸してしまったことは偶然ではないはずだ。

プレーオフ圏外が再び囁かれる可能性も……

「そりゃ去年の最後とは違う。ボストンはあんな状態だったし、そりゃ全然違う。ただ、周りが言うほどではないと思いますよ」
 イチローがそう語る通り、首位攻防戦ではあっても、5月下旬からのレッドソックス戦はかつてほど特別な雰囲気を漂わせる対決ではなかった。

 しかし、落雷と豪雨の末のコールドゲームでシリーズが終わる頃には、その宿敵に3ゲームを付けられた。同時にア・リーグ東地区は3ゲーム差以内に4チームがひしめき、稀に見る大混戦模様となっている。
 ヤンキースがもしもこのまま煮え切らない戦いを続けた場合、7月中旬にボストンで迎える次のライバル対決はもう後がない重要なシリーズになってしまうかもしれない。そんな事態を避けるべく、かつて“ブロンクス・ボンバーズ”と呼ばれた打線は復活を遂げられるのか。

 波乱の2013年は、夏場を間近に控えてよりスリリングな趣を帯びることになりそう。ここでペースが上がらなければ、開幕前の予想通り、プレーオフ圏外に落ちて行く可能性が再び囁かれることにもなるのだろう。

(成績は日本時間6月3日までのもの)

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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