涙の恩返し……幸四郎、メイショウに贈るオークス勝利

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溢れ出たうれし涙、秋にはもう1つ大きな恩返しを

幸四郎自身も“復活”をアピール、秋もこのコンビでもう一丁! 【写真:中原義史】

 さらに、メイショウマンボにはオークスのクラシック登録がなく、そのままだとオークスへの出走権利がなかった。追加登録には200万円かかるが、「桜花賞で負けた日の夜に自分からオーナーに『オークス行きたいです』と電話しました」。この幸四郎の熱意に、松本オーナーもすぐ快諾してくれたという。
「最高の形で恩返しができましたね。レースに勝った後、自分は案外平常心でいたつもりだったんですけど、オーナーの顔を見たら……いやぁ、ダメでしたね。そういうキャラじゃないんですけど(笑)」

 こらえきれず溢れ出たうれし涙には、ここ数年の苦労と感謝がいっぱいに詰まっていたに違いない。幸四郎自身にとっても“復活”を大きく印象付けたこの1勝。秋の淀でも女王の力強い舞いをエスコートし、もう1つ大きな恩返しの勝利を贈りたい。

二冠ならずアユサン4着、丸山「悔しい」

桜花賞馬アユサンは4着、二冠はならなかった 【写真:中原義史】

 一方、二冠を狙った桜花賞馬、丸山元気騎乗の3番人気アユサンは、メイショウマンボから0秒7遅れる4着に敗れた。

「悔しいですね。勝てなかったのが悔しいです」
 丸山が何度も繰り返した“悔しい”という言葉。しかし、競馬そのものは桜花賞馬として堂々としたものだった。
「思っていた位置で競馬ができましたし、折り合いもつきました。ちょっとテンションが高かったのはしょうがないと思いますが、この馬の競馬ができたのに負けてしまったのが悔しいです」
 勝ったメイショウマンボのちょうど後ろから不利のないレース。ただ、インから伸びかけたが、突き抜けるまでにはいかない。上位3頭が上がり3F34秒6〜7だったのに対し、アユサンは35秒1。瞬発力勝負、そして「しまい、ちょっと距離が長いかなと感じました」という距離適性の差が出てしまった形か。

 しかし、この樫の舞台で3歳女王の座を争う勝負がすべて終わったわけではない。秋華賞は距離が400メートル短縮される2000メートルの舞台だ。馬はまだ若く、丸山自身も騎手として伸び盛りの今年23歳。
「また一から頑張ります」
 秋の淀ではもうひと回り大きくなったアユサンと丸山が帰ってくるはずだ。

<了>

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