プジョルの元コーチが語る日本サッカー=「スペインも日本から学ぶことがある」

イースリー

プジョルのパーソナルコーチも務めたダビッド・エルナンデス氏が日本サッカーについて大いに語ってくれた 【サッカーサービス】

 バルセロナの育成組織を始め、世界中で指導者養成、選手育成を手がけるサッカーサービス。日本では2年前からクリニックを実施し、バルサ(のカンテラ)へ入団する前の久保建英君も指導した。Jクラブの下部組織をはじめ、指導者向け講習会も開催するなど、国境を越えて日本サッカーに足跡を残しつつある。

 サッカーサービスのメインコーチでもあるダビッド・エルナンデスはカルレス・プジョルのパーソナルコーチを務めた人物で、30歳を超えてなおバルサの闘将がプレーを進化させることができたのは、彼のアドバイスによるところが大きい。

 カタルーニャサッカー協会指導者養成コースインストラクター、ヨハン・クライフスポーツ大学で教授など歴任した“サッカーサービスの頭脳”が見た、Jリーグと日本サッカーの可能性とは――。

各クラブに理念、哲学があるべき

――2012年度のJリーグの試合を数多く分析したそうですが、サッカースタイル、選手個人について、どのような傾向を見いだしましたか?

 多くのJ1クラブが、ボールポゼッションを主体としたサッカーを試みていると感じました。これはわれわれが考える良いサッカーに近いものがあります。

 チームとしてポジティブな印象を受けたのが、サンフレッチェ広島です。サッカーの世界ではときに「サッカーの質を求めるべきか、それとも結果(勝つこと)を求めるべきか」という議論が起こります。これに答えを出したのが、ヨハン・クライフです。彼はバルセロナ時代、「試合に勝つことと良いサッカーをすることは、相反するものではない。勝つために、良いサッカーが必要なんだ」と言いました。これはバルサに貫かれている哲学でもあります。広島も同様に、良いサッカーをして優勝したので、日本のサッカーに良い影響を及ぼしたのではないのでしょうか。

 また、アカデミー出身者を多く起用しているのも興味深いことです。各クラブに理念、哲学があるべきで、それこそが進むべき方向だと思います。

――他に印象に残っているチームはありますか?

 川崎フロンターレとジュビロ磐田です。この2チームは比較的多く分析しました。川崎は成長過程、発展途上にあるチームという印象を受けました。戦術的には選手が2人、3人と連動するコンビネーションを使い、攻撃の選手は戦術の範囲内である程度自由にプレーしています。ただし、監督が目指すコンセプトを完成させるにはあと1、2シーズンはかかると思います。磐田には何人か良い選手がいましたし、監督が質の高い仕事をしているのが分かりました。昨シーズンは12位でしたが、最終ラインからしっかりとビルドアップをし、細かくパスをつないで攻撃を組み立てる部分において、とても好感を持ちました。

――Jリーガーの中で良いと感じた選手はいましたか?

 名前を挙げるとするならば、広島の佐藤寿人選手です。私の観点からすると、Jリーグのなかで一番良いFWだと思います。日本代表に入っていないことが信じられないぐらいです。彼は非常に頭の良いプレーをします。常にDFラインと駆け引きをし、相手のラインを押し下げたり、おびき寄せたりとディフェンスラインに波のようにアタックを仕掛けています。自ら動いて味方のプレーを助ける部分でも、賢くて特別なクオリティーを持った選手です。

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