内田篤人が望む最高のプレー=重要視する守備でのチーム貢献
うまくスタートしたシーズンだったが……
内田はドイツ人記者の質問に笑顔を交えながら、自身のシャルケへの想いを語ってくれた 【Bongarts/Getty Images】
今季は常に太陽が内田とシャルケを温かく照らしていたわけではなかった。むしろ、その反対だったと言える。クラブはルール地方で、アップダウンの激しい1年を過ごしているのだ。
内田は2つの顔を持つシャルケの今季を、どう説明していいのか分からず、こう語る。「精神面において、すべきことはたくさんあります。ベッドに入った時でも負のスパイラルに入ってしまうことはあるし、そうなると期待するような結果は得られません」。この25歳は「閉塞感のようなもの」と話すが、シーズンはうまくスタートしたはずだった。
バランスが崩れた理由は今も分からない
だが、第10節のホッフェンハイムとのアウエーゲームがターニングポイントになった。内田も得点したもののシャルケは2−3と敗れ、何かがチーム内の敏感な小宇宙を不安定にさせた。バランスは失われたのだ。
今日に至っても、内田はシャルケが崩れた理由を見つけ出せずにいる。「もちろん、僕らは全ての試合に勝ちたいと思っています。でも、いつもそうできるわけではありません」。内田本人も、調子を落とした時期はあった。けがで戦線を離れた時期もあり、すぐにはベストの調子を取り戻せなかった。
フープ・ステフェンス監督を解任し、イェンス・ケラー新監督を迎えると、ゲルゼンキルヘンに光が戻ってきた。軌を一にするように、内田も劇的な復活を果たした。非常に重要な第25節のボルシア・ドルトムントとのレビアダービー(編注:レビアとは同地区、地域という意味)では、内田は2アシストを記録して勝利に貢献している。
「シャルケの人々にお返しをしたいんです」
ダービーでの活躍はハードワークの結実だった。「あれは本当にうれしかった」と内田は微笑む。あの一戦の意味をよく理解しているのだ。「この地域における、サッカーの重要性を感じています。ファンは誠実で、情熱にあふれて僕らを支えてくれていると感じる」からだ。
何しろファンには、ドルトムントへのライバル意識が常にある。「どことの対戦だろうと関係ないんです。ファンはいつも『シャイセ、BVB(ドルトムントのくそったれ)』って歌っています」と内田は笑う。ファンがいかにクラブを応援しているかを知っているからこそ、「すべての試合において自分のパフォーマンスで、シャルケの人々に何かお返しをしたいんです」と語るのだ。
内田は安定して良いプレーを続けているが、それこそ本人が望むことだ。誰が得点をよく奪うといったことには、焦点を合わせていない。「僕にとっては、最終ラインで自分の仕事をすることが大事なんです。良い守備をして、チームに貢献することです。もちろん、より注目されるのはジェフェルソン・ファルファンやドラクスラー、ミシェウ・バストスといった攻撃的な選手だけれど、僕にとってはあまり重要なことではないんです」。