タイガーが2年半ぶりに返り咲いた定位置
現実味帯びる5度目のマスターズ制覇

大きな代償を支払った08年の全米OP優勝

今季5戦中3勝のタイガーは5度目のマスターズ制覇を狙う
今季5戦中3勝のタイガーは5度目のマスターズ制覇を狙う【Getty Images】

 アマチュア時代からジャック・ニクラウス以来の逸材とゴルフ界の期待を一身に担ってきたタイガー・ウッズの成績に陰りが見え始めたのは、2008年の全米オープンで渾身(こんしん)の優勝争いを演じた直後だった。


 07年の全英オープン後に左膝の靭帯を痛め、治療していたにもかかわらず、08年のマスターズに出場した。さらに左脛(けい)骨の疲労骨折までみつかり、ドクターストップを押して全米オープンに出場。優勝はしたものの、ついに靭帯と骨折の手術を受けることになり、「今季は絶望」と言われる状態になってしまった。


 このシーズン、タイガーはビュイック招待、WGC−アクセンチュアマッチプレー選手権、アーノルド・パーマー招待と、出場3試合で3連勝し、WGC−CA選手権で5位、マスターズこそ2位に甘んじたとはいえ、出場6試合目の全米オープンで4勝目を挙げる快進撃を見せていた。それだけにタイガーが不在という残りシーズンの状況にファンはガッカリしたものだ。

スキャンダルと未勝利で味わったどん底

 翌09年はツアー復帰を果たして7勝を挙げたが、メジャー優勝はないままに終わった。そんなタイガーに追い打ちをかけたのが、女性スキャンダルだった。


 10年はマスターズからツアーに復帰。しかし、このシーズンはメジャー優勝はおろか、ツアー未勝利に終わっている。そして、この年の10月に通算623週にわたって維持してきた世界ランキング1位の座をイングランドのリー・ウェストウッドに奪われてしまったのだ。以後、同ランキングトップの座は、ルーク・ドナルド(イングランド)とローリー・マキロイ(北アイルランド)など欧州勢が週替わりと言ってもいいほど目まぐるしく入れ替わったが、タイガーのランクは下がる一方で、11年11月には、ついに58位にまで落ちることさえあった。


 11年も10年以来、コーチのショーン・フォーリーとスイング改造に取り組んでいたこともありPGAツアーは未勝利。ようやく復活の手ごたえを得たのは、昨年3月のアーノルド・パーマー招待での優勝だった。このときタイガーは、「ニクラウスよりも多くグリーンジャケットを着たい」とマスターズへの強い思いを語ったが、マスターズは40位タイと振るわず、ほかの3つのメジャーにも勝てないままでシーズンを終えた。タイガーのマスターズ優勝回数4回に対して、ニクラウスのそれは6回である。

再びグリーンジャケットに袖を通せるか

 しかし、徐々にスイング改造の成果が出始め、また左膝の懸念もなくなり、復調に歩調を合わせるかのように、世界ランキングは上がり続け、昨年末には3位にまで復帰し、13年シーズンに入ったのだ。


 今シーズンPGAツアーで5戦して3勝を挙げたタイガーは、ついにマキロイを抜いて、2年5カ月ぶりに世界ランキング1位の座に復帰した。それをタイガーは、「とても単純なこと。上達したいと思っているだけ。ゴルフが効率的になって、初めから最後まで波がなくなった。(コーチの)ショーンと練習したことに満足している」と粘り強く練習した結果だと語っている。

 

 王座返り咲きとなったアーノルド・パーマー招待の終了後、「長い道のりだった」と語ったタイガーは、いま5度目のグリーンジャケットに袖を通すことに闘志を燃やしている。それは限りなく現実味を帯びていると、今年のタイガーを見ていると思える。


<了>

久保田千春

1948年東京生まれ。長らく週刊ゴルフダイジェストでトーナメント担当として世界4メジャーを始め国内外の男子ツアーを取材。91年から今も続く週刊ゴルフダイジェストの連載「ノンフィクションファイル」を立ち上げ担当して編集作業を行う傍ら自らも執筆。フリーとなった今も同連載に寄稿している。2007年にアマチュアだった石川遼のツアー優勝以後、石川勝美氏の依頼により「バーディは気持ち」の編集作業を担当し、その過程で石川家と親しく交流するようになった。それが縁となり武蔵野千のペンネームで週刊ゴルフダイジェスト連載の「遼くん日記」の原作を08年から12年まで執筆。現在は同誌で「迷ったとき、ユハラにかえれ!」を執筆中。91年に当時のツアーオブジャパンの依頼で日本ゴルフ雑誌記者協会を創立し、ゴルフダイジェストを退職した08年まで同協会会長を務める。また、ここ20年ほど世界ゴルフ殿堂に委嘱されインターナショナル部門の選考も行っている。

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