しずちゃん快勝! 闘病トレーナーに贈るリベンジ星=女子ボクシング
デビュー戦で敗れた相手にリベンジ
デビュー戦で完敗したシュエ・チュンチーに完勝したしずちゃん 【t.SAKUMA】
殴られても殴られても、それ以上の気迫を込めたパンチを相手に叩き込んでいった。
「打たれながらでも前に前に出てしまう、私の悪い癖が出てしまいました。最後は何をしてるんか、よう分からんようになってしまって……。きょうは勝てましたけど、もっと強い相手だと勝てない。反省して次に向かって行きたいですね」
しずちゃんにとっては反省いっぱいの内容だったようだが、近い距離からボディフックを相手にめり込ませ、離れ際には右のショートフックを的確にヒット。1ラウンドから相手に1度もポイントでリードを許さなかった。何より、キャリアではるかに上回る相手を気迫と気合で圧倒。そんな愛弟子の最高の一戦に、師匠である梅津正彦トレーナーの頬も緩みっぱなしだった。
「僕はあんまり、しずちゃんを褒めないんだけど、練習してきたことをしっかり出せていたし、ボクシングに奇跡はない。デビュー戦では大人と子供くらいの差がありましたからね。本当によく頑張った」
師匠の梅津トレーナーも合格点
しずちゃんと二人三脚で練習に励んできた梅津トレーナーも合格点 【t.SAKUMA】
同じく梅津トレーナーからボクシング指導を受け、『あしたのジョー』の力石徹を演じ切った俳優の伊勢谷友介さんも加わっている支援プロジェクト『元気玉プロジェクト』はこの日、ファンや有志らからの寄付・支援金187万1000円を梅津トレーナーに贈呈。伊勢谷さんは涙をこらえながら「あの力石を作ったのは梅津さんです。女子ボクシングをこれからもっともっと引っ張っていってほしいし、みなさまからもこれからも支援をいただけたらと思います」と満員の後楽園ホールに訴えた。
「まずは、まだ全身にがんが残っているので、それを減らしていきたいですね。2月、3月ごろはきょうの試合の日を迎えられないんじゃないかと思ったんですが、不思議と試合が近づくにつれて体調が良くなって、きょうを迎えられた。次の全日本選手権(12月)までこの調子でいきたいですね」と梅津トレーナー。しずちゃんもこの力強い言葉に応えるように、ますますボクシング道を突き進むことを誓った。
「次の試合も、その次の試合も、ずっと梅津トレーナーといっしょに戦ってもらえるように、一生懸命ボクシングを続けていきたいです」
しずちゃんができることは、一歩ずつでも成長して、勝つ姿を見せること。それが師匠にとって一番の良薬であることを、弟子は知っている。
注目美女ボクサー・伊藤沙月が快勝
注目美女ボクサー・伊藤沙月は快勝も試合内容に不満 【t.SAKUMA】
「前半はリズムがうまく取れなくて、そこが反省ですね」と、端正な顔をしかめた伊藤。そう振り返った通り、出だしの1ラウンドは対戦相手・千本瑞規のプレッシャーに押し込まれてしまい、うまく反撃に持ち込めないまま、3−3でラウンドを終えた。しかし、2ラウンド以降はボディを効果的に使うと、相手が突っ込んできたところへタイミング良く右のクロスカウンターをヒット。さらに得意のジャブでじわじわとペースを握りながらポイントでも引き離し、最終的にはダブルスコアの快勝を収めた。
しかし、当の伊藤本人は「自分のボクシングが全然できませんでした。次はもっとうまくできるようになりたいです」と満足はいかない様子。そのビジュアルにばかり注目が行きがちだが、高校時代にキャリア1年で全日本女子アマチュア選手権大会ライトフライ級Bで優勝、さらに昨年のロンドン五輪強化選手に選ばれるなど、その素質は折り紙つき。「もっと女子アマチュアボクシングを広めたいです。ジーナ・カラーノ選手のようになりたい!」と、ハリウッドでも主演を務める米国MMA界ナンバーワン人気ファイターの名前を挙げて、女子ボクシング人気の火付け役になることを誓った。
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