西武、Vへの鍵握る2人の若獅子

中島大輔

打線、先発は盤石 守護神不在が課題に

守備に定評のある高卒2年目の永江恭平。打撃でも結果を残せるかが飛躍の鍵となりそうだ 【(C)SEIBU Lions】

 昨季の打率がリーグ6位の2割9分3厘を記録した秋山翔吾、同8位の2割8分9厘をマークした栗山巧、オープン戦で3位の打率3割4分8厘と打ちまくったヘルマンはある程度の計算ができ、今季の復活を期す片岡、1年を通しての活躍が期待される浅村栄斗が結果を残せるかが、打線の鍵になるだろう。

 一方、投手陣は昨季より厚みを増した印象だ。先発陣ではプロ入り7年目で初めての開幕投手を務める岸孝之、WBCでは侍ジャパンの守護神を務めた牧田和久が柱になる。ここに先発復帰する涌井秀章、ストレートに勢いを取り戻した菊池雄星、コントロールで勝負する野上亮磨、球威のあるストレートが魅力の十亀剣がいかに勝ち星を積み重ねることができるか。ベテランの石井一久も控え、先発陣は充実している。

 課題はリリーフ陣だ。特にクローザーは2年連続で先発投手を後ろに回して凌いできたが、今季も絶対的な守護神がまだいない。候補はふたり。広島時代の2011年に35セーブをマークし、今季から西武でプレーするサファテと、10年ドラフト1位の大石達也だ。サファテは自慢のストレートでどこまで押せるかがポイント。大石は、早大時代のようなキレのあるストレートが戻りつつあり、ドラフトで6球団の競合指名を受けた才能が真に開花する1年になるかもしれない。

開幕カード、西武ドームではイベントが満載

 3月29日、開幕戦の相手は北海道日本ハムファイターズ。昨年、対戦成績12勝10敗2分と勝ち越して相性が良い。このリーグチャンピオンを開幕カードでたたき、勢いに乗りたいところだ。“二刀流”で話題の大谷翔平は開幕スタメンもささやかれており、ライオンズ投手陣との対戦は大きな注目を集めるだろう。

 また、開幕カードでは西武ドームでさまざまなイベントが催される予定で、特に盛りだくさんなのが29日の開幕戦だ。来場したすべてのライオンズファンに「2013スローガンフラッグ」を配布。試合前には、14年ソチ五輪の出場を日本で最初に決めた女子アイスホッケー代表による始球式も行われる。さらに、試合後のグラウンドではライオンズOBの平尾博嗣さん、阿部真宏さんによる「ライオンズ魂注入ノック!」を実施。30日には「ベースランニング体験」、31日には「親子バッテリー体験」が行われる。開幕の興奮さめやらないスタジアムで、選手と同じグラウンドに立てるのはファンにとって垂涎(すいぜん)の時間になるだろう。
 昨年好評を博した「LIONSいち押しグルメ」も開幕戦から発売される。ねぎ豚骨ラーメン、照り焼き月見バーガー、ダブル豚丼など食べ応えのあるメニューから、狭山抹茶クレープ、狭山抹茶パフェ、アップルスカッシュなどのスイーツまで、ラインアップは豊富だ。

 3月16日から西武池袋線、東急東横線、みなとみらい線、東京メトロ副都心線、東武東上線が相互直通運転を始め、西武ドームへのアクセスは一気に便利になった。野球観戦にとどまらず、野球体験のできるスタジアムで、開幕から野球の魅力を堪能したい。

<了>

協力:埼玉西武ライオンズ

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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