復権する3バックに隠された戦術=セリエAとJリーグで採用が広がる理由
特殊性は2トップにある
ユベントスの3バックを支えるバルザーリ(左)。ユーベの3バックは強力なCBなしには成立しない 【Getty Images】
2トップは相手が4バックの場合、CBと2対2の関係になるので、1人が引いて1人が裏に飛び出せばカバーリングなしの1対1を作りやすい。そこへピルロの正確なパスが通ればパス1本で決定機を作れる。
ピルロの両脇にアルトゥロ・ビダル、クラウディオ・マルキージオがいるのも大きい。この2人は運動量が抜群でテクニックも高く、攻守にピルロをサポートできる。さらに前線への飛び出しも得意。2トップとビダル、マルキージオでピルロのパスを引き出せるのだ。
柏レイソルの3バック
アルビレックス新潟から鈴木大輔を獲得できたので、近藤直也、増嶋竜也、鈴木とJトップクラスのCBを3人有することになった。
3バックは1995年にヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)を率いていたときからネルシーニョ監督が得意としてきた形であり、機能性については熟知している。ウイングバックにはクロスが武器のジョルジ・ワグネルと運動量のあるキム・チャンスがいるため、選手の活用という点では合理的なのだろう。
今季の柏はAFCチャンピオンズリーグを戦っており、選手のローテーションも視野に入れているのかもしれない。また、アジア勢は外国人FWへのハイクロスやカウンターを攻め手にしているチームが多く、中央を3人のDFで固めるのは“一発”への対策にもなると考えられる。
ユベントス、柏と同じく、ナポリの3バックも発想はかつての3バックと同じ。3人の強力なCBで中央を固め、サイドもウイングバックが引く5バック的な守り方である。
5バックというとひどく守備的にも感じられるが、4バックでも押し込まれた場合はMFの両サイドがSBの近くまで引くので、4+2で6バックのようになってしまうことがある。3バックは最終ラインの人数を状況に応じて3〜5人を選択できる守り方なので幅はある。攻め手を持っていれば守備面では有効だろう。
<了>