挑戦し続ける浅田真央、今季ベストもまだ道の途中=四大陸選手権・女子FS

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苦難を乗り越え、進化の道へ

ハイスコアに笑顔あふれる浅田 【坂本清】

 アスリートにとって“挑戦”は当然持つべき意識なのだが、今大会のこの果敢なトライが一つの大きな自信と確信も生み出した。練習通りのまずまずの出来ながら、2010年バンクーバー五輪でマークした自己ベストにわずか0.05点差に迫るハイスコア。浅田が力を込めて口にする。

「国際大会ではバンクーバー五輪以来の200点超え。得点として戻って来れたという実感がありますし、トリプルアクセル、3回転−3回転も戻っている。演技の質としてはバンクーバー以上のものが出せていると思います」

 バンクーバー五輪銀メダル後、代名詞のトリプルアクセルが跳べなくなるなどスランプに陥り、最愛の母との別れも経験した。しかし、苦しい時期を一つずつ乗り越え、ソチ五輪1年前という今、完全復活への道がついに大きく開かれた。

「やっぱり、自分の信じる気持ち、コーチとの日々の練習の積み重ね、ファンのみなさんのおかげですね」
 そんな愛弟子を見守ってきた佐藤信夫コーチも、やはりこの日のフリーには満点を与えていないが、愛情深い言葉で浅田をねぎらっている。
「もうひと息ですね。でも、ショートプログラムでのトリプルアクセル成功は大きな成果だと思っています。いろんな意味で大きなことでした。ここに来て気持ちが充実してきていますし、積み重ねてきたものが少しずつ形になってきている。五輪まで順調に進んでいると思いますが、このまま継続して、これからの壁を乗り越えていきたい」

 1カ月後の3月13日からは世界選手権がカナダで開幕。トリプルアクセルに大きな手応えを得て臨む大一番では、どのような演技を見せてくれるのだろうか。
「今回の試合でできたことは次につながると思います。まだ最高の演技はできていませんが、だいぶ近づいている実感がありますし、次が楽しみ。それに、上には上の演技があるので、今後トリプルアクセルを2回とか入れていければとも思っています。世界選手権では世界中から強い選手が集まりますが、自分の目標を見失わないで、これは自分への挑戦として、今回以上のものが出せるように頑張りたい」

 どこまでも向上を求め、どこまでも挑戦し続ける浅田真央。これは単なる復活ではない。世界選手権は過去の自分を超え、さらなる進化へ飛び出す第一歩となるのではないか。

<了>

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