前田日明が語る格闘技界の夢、そしてJカップ

長谷川亮

「大きいと単純に印象に残る」

日本の格闘技界への提言から女性へのダイエットなど幅広い話を繰り広げてくれたリングス・前田代表 【t.SAKUMA】

 今年3月でアウトサイダーが5周年を迎えるリングスの前田日明代表に直撃インタビュー。昨年は本隊リングスが10年ぶりに復活を果たし、年末には“ロシアの狼”ヴォルク・ハンの引退興行を行うなど話題を博したが、今年の戦略やいかに。アウトサイダーの海外進出から格闘技界への提言、そしてラウンドエンジェル&健康美まで、ごちゃごちゃ言わんと“アキラ兄さん”が全てを語った!

――今日は今年のリングス、アウトサイダーの構想をお聞きしていきますのでよろしくお願いします。

 まず今年に限らず思ったのは、大晦日のDREAMとGLORYの合同興行を見て、やっぱりヘビー級がないとダメですね。これは昔リングスをやってるころから思っていたんですけど。軽・中量級と重量級を続けて見ると、ヘビー級がないとダメだなぁと。やっぱり大きいと単純に印象に残るんですよね。
 去年9月の後楽園大会でも、一番盛り上がったのは大山(峻護)君の試合でしたし。大山君は80キロぐらいですよね。負けてしまったけど、あの試合が一番迫力がありました。そういうのを思うと、やっぱり重いクラスが足りないですかね。根本から考え直さなきゃいけないなと思います。

――前田さんは常々、興行におけるヘビー級の重要さと同時に、ヘビー級ファイター育成の必要性も説かれてきたと思います。

 そうですね。だからヘビー級を育てるプロジェクトみたいのをやらないといけないと思って、いま考えてるところです。今年からその第一歩をやっていかないといけないなと。

――でも日本人でヘビー級となると、やはり難しいのかなと思ってしまいます。

 ヘビー級の身体を作るにはお金と時間がいるんです。ただ筋肉だけじゃなく、動ける身体・戦える身体を作ろうとしたらやっぱり時間もお金も掛かる。だからとりあえずプロの方は、80キロぐらいの選手から育てていきたいと思ってます。

「ロシアには逸材がまだまだ埋もれている」

昨年12月のRINGS/THE OUTSIDER 合同大会にロシアから出場したクラット・ピターリは1R32秒で相手をマットに沈めた。まだまだロシアに未知の競合が埋もれているという 【t.SAKUMA】

――いま日程表を頂きましたが(下記参照)、今年の展開をご説明お願いします。

 アウトサイダーは大阪大会(9月・12月)で関西に進出します。去年も阿波踊りに合わせて予定していたのが、応援に暴走族とかが集まったら困るっていう話になって…(※大会が中止となった)。前回の大会は徳島のUWFを応援してくれていた人たちがやるっていうことだったんですけど、今回はリングスがやる自主興行なので問題はないです。9月に1度アウトサイダーをやって様子を見て、場合によって12月はリングスとアウトサイダーの合同大会にしてもいいし。
 それで6月は横浜大会をやるんですが、いまアウトサイダーをオーストラリアとイギリスでやろうっていう話があって、オーストラリアのクリストファー・ヘイズマンとイギリスのリー・ハスデルが動いてるんです。リー・ハスデルはもうちっちゃなアマチュア大会を始めていて、そこで勝ち上がった選手を6月の大会に上げて試合をやらそうかなと。
 それプラス考えているのが、中国から選手を連れてきてアウトサイダーの連中との対抗戦。それで勝った方が尖閣列島を取るっていう(笑)。まぁ、中国は交渉中なんですけど、イギリスの方は来るのが決定しています。イギリスとオーストラリアのアウトサイダーも夏ぐらいには動き出すんじゃないですかね。

――今年のリングスの開催に関してはいかがでしょうか?

 今年はとりあえずは合同大会ですね。だから6月は盛りだくさんになると思います。あとこの大会には日本人の大物選手が1人出ますんで、これはお楽しみで。

――昨年を振り返ると、ロシア勢が“ロシア幻想”を抱かせる強さで活躍しました。

 ロシアはまだまだとんでもないのが埋もれてるんです。今来てる連中は連勝でまだ誰も土がついてないけど、見に行った時、「これはどうですか、あれはどうですか」って薦められたのを見たら、アマチュア連中じゃ怪我したり殺されちゃうんじゃないかっていう奴ばっかりなんだよね(苦笑)。それで困ったなと思って、これなら大丈夫かなっていうのを3人選んで、「なんであんなのを選ぶんだ」って聞かれたけど、「アマチュア大会だからこのあたりから順番に」って言って。でも、その順番が全然先に進まないんです(苦笑)。

――末恐ろしいですが、ロシア幻想がさらに広がる話です。

 あとあんまり軽いのはいないんですよね。多いのはやっぱり80キロ以上で。だから中量級・重量級のネットワークに関しては、UFCがひとり占めだと言ってもまだまだいっぱい持ってます。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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