予選落ち続く石川遼に足りないもの

難易度のそれほど高くないコースで…

今季から米ツアー本格参戦の石川だが、開幕から3試合連続予選落ちと厳しい状況が続いている 【写真は共同】

 米ツアーにシード選手として本格参戦した石川遼は、ここまでの3試合すべてで予選落ちを喫してしまった。しかもどの試合もカットラインに遥かに及ばない予選落ちである。1戦目、2戦目は、正月早々に取り組み始めたスイング改造を実戦で試しながらの試合で、もちろん決勝進出は期待しつつも、連続予選落ちは、ある程度やむを得ないものだと思えた。

 しかし、3戦目の「ウェストマネジメント・フェニックスオープン」の予選落ちは、いささか考えさせる予選落ちであったと思えてならない。大会は観客の動員数や、ホール全体をスタンドが囲み、ティーショットごとに“Get it the hole!"の大歓声が鳴り響く16番パー3に象徴されるように、熱狂的なファンが押し寄せるトーナメントだ。しかし、開催コースのTPCスコッツデールは、米ツアーの会場としては、コースそのものの難易度はそれほど高くなく、コースマネジメントをあまり考える必要がない舞台でもある。そのため、選手たちの間では、「パッティングコンテスト」などと揶揄されることさえある大会だ。

 基本的にパーオンが大前提で、そこからどれだけパターが入るかが勝負の分かれ目になる。だから優勝スコアが4日間で28アンダーなどという、とてつもない数字が出てしまうわけだ。パターが入るか、入らないかは、時の運もあるし、石川遼の場合は、芝に慣れていないというハンディもあるので、致し方ないとしても、問題はパーオンが戦う大前提にも拘わらず、グリーンを外すホールが多すぎる点にある。

結果に差が出てしまったパーオン率

 前週の「ファーマーズ・インシュアランスオープン」が終わった段階での石川のフェアウェイキープ率は、50.72パーセントでランクは136位だったが、「フェニックス」終了時点では52.58パーセントで130位とわずかながら向上の兆しが見えている。これはスイング改造が少しずつ成果を出し始めたとも取れる数字だ。だが、パーオン率は66.67パーセント(134位)から65.87パーセント(145位)と後退しているのだ。これを見ると、反対にまだまだスイング改造の成果は出ていないと思えてしまう。とりわけパーオンが当たり前というやさしいコースで数字を下げてしまっているのが気になるところだ。

 では、「フェニックス」で優勝したフィル・ミケルソンの数字はどうか。石川遼と比べるには、あまりにも格が違うと思うかもしれないが、最新のデータでは、ミケルソンのドライバー平均飛距離289.3ヤード(95位)なのに対して、石川のそれは289.9ヤード(90位)とほぼ互角だから、比較の意味もあるだろう。さらにミケルソンのフェアウェイキープ率は52.41パーセント(132位)で、これも石川と大差はない。ところが、ミケルソンのパーオン率は73.61パーセント(44位)で石川に大差をつけている。これに入りまくるパターが加われば28アンダーも夢ではないということになる。

 今季、石川もミケルソンも同じ3試合に出場しているのだから、この比較から浮かび上がって来るものは、今後の石川にとって目指すべき方向を示唆しているのではないだろうか。石川は1週ツアーをスキップして2月14日から開催される「ノーザントラストオープン」から再登場する。この1週間でどれだけショットの精度を高められるのか、練習の成果に注目したい。

<了>
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著者プロフィール

長らく週刊ゴルフダイジェストでトーナメント担当として世界4メジャーを始め国内外の男子ツアーを取材。現在はフリーのゴルフジャーナリストとして、主に週刊誌、日刊誌、季刊誌になどにコラムを執筆している。

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