アンデウソン vs. GSP――UFC史上最大の戦いへ「時は来た!」

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誰が総合格闘技の王者であるのか?

GSPとの夢対決が期待されるアンデウソン・シウバ 【Zuffa LLC via Getty Images】

 これは総合格闘技において最も話題にのぼったトピックである。

 ジョルジュ・サンピエール(以下GSP)対アンデウソン・シウバ。単にこの言葉を綴るだけなら簡単だ。ただ、それぞれの階級でトップに君臨する世界最高のファイターが、そのキャリアのピーク時にパウンド・フォー・パウンドをかけて激突する瞬間など、滅多にお目にかかれるものではないし、実際になかった。

 少なくとも、ZUFFA時代のUFCにおいて、このような対戦が実現したことはない。

 2007年に行なわれたヴァンダレイ・シウバとチャック・リデルの対戦は、共にキャリアのピークを過ぎてから数年が経っており、パフォーマンスも今ひとつ。ランディ・クートゥアはどうか? いや、彼はパウンド・フォー・パウンドの候補ではなかった。ジョン・ジョーンズは? “ボーンズ”は逆にパウンド・フォー・パウンド候補と戦った経験はない。

 GSP対アンデウソンに話を戻そう。これは最高の対決が現実のものとなる絶好の機会だ。UFCのすべての興行成績を塗り替えるだけでなく、誰が総合格闘技の王者であるのかという問いに、真正面から答えをもたらすものだろう。

 それは何故か?

 アンデウソンは防衛記録のただ中に位置している。彼の歴代最多10連続防衛記録は、これまでの最高記録を大きく上回っている。GSPもこの過去の記録を打ち破っており、アンデウソンには及ばないものの7連続でタイトルを防衛している。ヒザ前十字じん帯の負傷による19カ月のブランクを抜きにすれば、GSPはシウバと同等、もしくはそれ以上の存在だろう。

 これだけでも彼らの対決が注目される理由が納得できるだろうが、まだまだ序の口だ。

アンデウソン、完璧なエンディングへ向けて

真のパウンド・フォー・パウンドをめざすGSP 【Zuffa LLC via Getty Images】

 アンデウソンは歴代最多連続防衛記録だけでなく、獲得タイトル数やUFC連勝記録、KO勝利数も最多であり、さらには王座在位期間も歴代最長。すべての階級で圧倒的な強さを誇っている。

 だが、アンデウソンがGSPに挑む絶好の機会であるとする最大の理由は、UFCとの契約上、アンデウソンの残り試合はたった2つであるということだ。キャリアを華々しいエンディングで飾るために、キャッチウェイトでのGSP戦と、ライトヘビー級でのジョーンズとの対戦は、完璧なラストとなるだろう。

 この2人の名前がアンデウソンの戦歴に刻まれれば、同じことを成し遂げる者が出てくるまであと数十年は待たなければならないだろう。もちろん、未来は誰にも予測できない。アンデウソンが夢見るだけだったことを、もしかしたらジョーンズは実現できるかもしれない。あるいは、10代もしくはそれより若い世代の中から出てくるかもしれない。だが現時点では、アンデウソンを超える存在は出てこないと考えるのが大方の予想だ。

 もしアンデウソンが先にジョーンズと対戦してしまったら、GSP戦はきっと拍子抜けとなってしまうに違いない。考えてみよう。アンデウソンが階級が上のライトヘビー級王者に勝った場合、GSP戦のチケットを誰が買いたいと思うだろうか? 少なくとも僕は観たいが、今現在この対戦に抱いている期待感は薄れてしまう。

 GSPの実力を考えれば、今がその時なのだ。彼は負傷からの復帰戦でカーロス・コンディットとの非常にタフな戦いを制するというキャリアで最も高いハードルを越えたばかりだし、ジョニー・ヘンドリックスも候補に控えている。

 さらに、“ザ・スパイダー”にウェルター級へと階級を落としてもらうという馬鹿げた考えよりも、キャッチウェイトでGSPと戦うことの方が望ましい。GSPが敗れたとしても、タイトルは失わないし、自分よりもはるかに大きな相手だから、言い訳も立つだろう。敗れても本来のウェルター級王者としての戦いに戻り、アンデウソンの打ち立てた記録を破ることに専念することもできる。

 これは(小さな者が大きな者を打ち負かす)ダビデとゴリアテの戦いと同じこと。であれば、GSPがこの圧倒的な戦いに挑むとする根拠はどこにあるのだろう? アンデウソンは大型のコンディットみたいなものだ。

 ここで昔話をしよう。ライト級のタイトルを2度逃したBJ・ペンが、ウェルター級チャンピオンであるマット・ヒューズへの挑戦を決めた時も同じように無謀だとされた。しかしペンは多くの者がパウンド・フォー・パウンド候補であると認めていたマット・ヒューズを完璧に撃破してみせたのである。

 同じことをGSPにはできないと誰が言えるだろうか?

Text by Michael DiSanto
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