須藤、高瀬、ヤマケン――オクタゴンに挑んだサムライたち=UFC
11.10マカオ大会でUFC2戦目に挑む漆谷 【Zuffa LLC via Getty Images】
Text by Thomas Gerbasi
2003年に「PRIDE25」のホジェリオ・ノゲイラ戦でデビューした柔道黒帯出身の中村は、その闘志溢れるファイティングスタイルが印象的だ。ダン・ヘンダーソンやムリーロ・ブスタマンチ、ケビン・ランデルマン、ヴァンダレイ・シウバ、イゴール・ボブチャンチン、ジョシュ・バーネット、マウリシオ・“ショーグン”・フアといったファイターと拳を交えてきた中村は、日本格闘界になくてはならない存在だ。
オクタゴンではリョート・マチダとソクジュに敗れ0勝2敗と悔しい結果となった中村は、日本へ戻った後でもその好戦的なスタイルは健在である。
■中村K太郎(東京)
UFCではブロック・ラーソンとドリュー・フィケット、ロバート・エマーソンにすべて判定負けを喫し、未だ勝利のない中村はオクタゴンになかなか適応できなかった。それでもアジアでは順調に勝ち星を重ね、ここ8戦では7勝と波に乗っている。
■大石幸史(兵庫)
「UFC53」でニック・ディアスに敗れた大石は、この一戦で見せた奇妙なスタンディングが最も印象に残ったファイターだ。UFCでは0勝2敗の戦績だがパンクラスでは好調で、カーロス・コンディットには敗れたものの、ニックの弟ネイト・ディアスやクリス・ライトル、小谷直之を下している。
■小見川道大(茨城)
国際レベルでも名を馳せ、オリンピック柔道金メダリスト・吉田秀彦の弟子である小見川は、2005年にMMAへ転身。スタートこそつまづいたものの、DEEPでの3連勝を引っ提げて2007年にUFC初参戦を果たした。
UFCでは初戦から2連敗を喫したものの、日本に戻ってからは8勝2敗1引き分けの成績を残し、再びUFCに復帰。しかしその後も1勝3敗と苦しい戦いを強いられている。
■須藤元気(東京)
須藤は真のショーマンとして、日本中のファンからカリスマ的な人気を博したファイターだ。2003年には日本での一戦でバタービーンを撃破。須藤は多くのファイターには欠けている、勝利だけでなくエンターテインメント性も追い求めるスタイルでMMAを戦ってきた。
三角飛びといった相手を困惑させる技もいくつも繰り出している。ホイラー・グレイシーやネイサン・マーコート、マイク・ブラウンを退けたネオ・サムライは、ライト級の舞台では常にトップレベルで戦うことができただろう。
UFC再挑戦で悲願の初勝利を挙げた小見川 【Zuffa LLC via Getty Images】
マネジメントの無茶により強豪との連戦に次ぐ連戦を強いられた高瀬大樹は、UFCの歴史の中でも不運な一例として名前が挙がる存在だ。UFCではジェレミー・ホーン、山本喧一、ファビアーノ・イハに敗れたものの、日本ではPRIDEとパンクラスで生き生きとした素晴らしいファイトを見せてくれた。
戦績では9勝13敗2引き分けとなっているが、彼は格闘技界に一つの金字塔を打ち立てた。2003年のPRIDEではUFCの未来のスーパースターであるアンデウソン・シウバを三角絞めで破り、歴史に名を残す男となった。
■漆谷康宏(愛媛)
UFCにおけるフライ級創世記の一助を担った漆谷。その才能や経験、惑星最高のフライ級選手というステータスを思えば、彼は完璧な役割を果たしたといえる。MMAを11年間戦ってきたベテラン漆原は、TUF王者ジョン・ドッドソン戦の勝利や、5連勝という好成績が2012年3月のUFCデビュー戦につながった。連勝はジョセフ・ベナビデスに止められたものの、マカオで行われるジョン・リネカー戦でデビュー戦黒星を帳消しにしたい。
■山本喧一(大阪)
UFCで2勝1敗の山本は、「UFC29」でのパット・ミレティッチ戦で日本人初となるタイトルマッチを戦った(このカードのメーンイベントでは、近藤有己もティト・オーティズとのタイトルマッチに臨んでいる)。ミレティッチ戦の第2ラウンドで敗れた山本は、その後日本に戻りPRIDEなどで戦ってきた。5年間の期間を空けて2011年に再び戦いの場に身を投じた山本だったが、菊田早苗との一戦では第1ラウンドでTKO負けを喫した。
■吉田善行(千葉)
柔道黒帯四段を持つ吉田は、MMAの世界へ見事にアジャスト。2008年5月に初めてオクタゴンに立ちジョン・コッペンヘイヴァーと戦うまでは、まだアメリカで吉田の名を知る者は多くはなかったが、この試合で見せた見事な関節技による勝利で観客にその名を知らしめた。その後はジョシュ・コスチェック、アンソニー・ジョンソン、マイク・ガイモンに敗れ4戦3敗と苦しんだ吉田は、2010年以来UFCでの戦いから離れている。
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