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予想外の躍進を見せる“ヤングエスパルス”
ゴトビ監督の下で成長する若手選手たち

2ボランチによる守備組織の再編

若手が台頭する清水を支える古参の杉山
若手が台頭する清水を支える古参の杉山【写真:アフロ】

 もう1つのポイントは守備の再構築のために採用した2ボランチシステムだ。これは、第20節のサンフレッチェ広島戦から本格的に採用したが、後半戦に入ってチームが勢いを取り戻すことができた大きなポイントだ。


 7月末からのロンドン五輪出場により村松大輔を欠いたチームは、これまで採用していた1ボランチから、2ボランチへとシステムを変更する。これまで1ボランチを採用していたときは、左右に空いた広大なスペースを埋めるのは、村松のスプリント力とボール奪取能力という個人スキルに頼っていた。そのため、村松が不在の時に代役を立て、同じ1ボランチを採用しても守備が機能しない。そこにきて、3−4−3システムを採用する広島との対戦だった。


 広島は2シャドーがDFラインの前にポジションを取るので、ボランチ1枚ではカバーすることができない。そこで、ゴトビ監督はそのスペースを埋めるために2ボランチを採用した。結果、見事に守備組織を再編することに成功し、ロンドン五輪が終わってからは、復帰した村松と杉山浩太を組ませた2ボランチシステムの採用がチームに軸を作り、後半戦の躍進へとつながった。

チームを支える杉山の存在

 しかし、好調とは裏腹に課題も多い。例えば、28節のジュビロ磐田戦、30節の鹿島戦のように、前半と後半でまるで違うチームになってしまうことがある。この2試合に共通することは、ビハインドを負って攻めに出てくる相手に気押されて簡単に押し込まれたことだ。その結果、後半にシュートが激減するなど攻撃の形が作れなくなってしまった。


 また、前線からの守備がうまくはまらないとずるずるとラインが下がり、受け身になってしまう試合も多い。特にロングボールを蹴られると全体が間延びしてしまい、コンパクトな守備ができず、後手を踏むことが少なくない。指揮官のゲームプラン通りに試合が進めば強さを出すが、うまくはまらないときは流れを作ることができない。従順すぎるため指示待ちとなり、その綻びをピッチ上で素早く軌道修正できる選手がいないのが、若さゆえの脆さと課題といえるだろう。そうしたゲーム展開ではチーム古参の杉山がボランチの位置からチームメイトに声をかけ修正し統率をする。そんな彼の存在によって救われた試合は何度もある。


 だが、残念ながら杉山は累積警告による出場停止のためナビスコ杯決勝に出場することができない。これは平均年齢23歳の若いチームにとって、最大の試練となるのか、それともこの最大のピンチを若さと勢いでさらなる躍進の場と変えるかはサッカーの神のみぞ知るだろう。いずれにしても、今シーズンのヤングエスパルスの活躍を見れば、清水の未来に大きな期待を寄せずにはいられないことは確かだ。


<了>

飯竹友彦

1973年生まれ。平塚市出身。出版社勤務を経てフリーの編集者・ライターに。同時に牛木素吉郎氏の下でサッカーライターとしての勉強を始め、地元平塚でオラが街のクラブチームの取材を始める。以後、神奈川県サッカー協会の広報誌制作にかかわったのをきっかけに取材の幅を広げ、カテゴリーを超えた取材を行っている。「EL GOLAZO」で、湘南ベルマーレと清水エスパルスの担当ライターとして活動した。現在はフリーランスの仕事のほか、2014年10月より、FMしみずマリンパルで毎週日曜日の18時から「Go Go S-PULSE」という清水エスパルスの応援番組のパーソナリティーを務めている。2時間まるごとエスパルスの話題でお伝えしている番組はツイキャス(http://twitcasting.tv/gogospulse763)もやっています。

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