UFCマカオから“アジアの新星”は生まれるか!?

UFCモバイル

メインはリッチ・フランリン×カン・リー、五味隆典、漆谷康宏、福田力、水垣偉弥、さらに韓国からキム・ドンヒョンが出場する今大会、その見所とは 【(C) 2012 Zuffa. LLC.】

 日本に次ぎ、いよいよアジアで2カ国目のUFC開催となるUFCマカオ大会開催が迫ってきた。そこでUFC.COM×UFCモバイル×sportsnavi×MMAPLANETのコラボレーション企画第2章として、11月10日(土・現地時間)コタイ・アリーナで開催される『UFC MACAO』の見どころを若干マニアックな視点も踏まえつつ探っていくことに。

 MMAPLANET執筆陣、そして「ひかりTV UFC中継」解説陣でもある高島学&中村拓己の両氏に5回に渡り、見所を語った。最終回は日本が絡まないラインアップの関して。(司会:加治木啓/UFCモバイル)

(UFC.COM×UFCモバイル×スポーツナビ×MMAPLANET)

グアム最強ファイターのジョン・タックに注目

ジョン・タックが注目のUFCデビュー。柔術ベースのノックアウトパワーの持ち主だ 【(C) 2012 Zuffa. LLC.】

――その他の試合で注目しているカードがあれば、教えていただけますか

高島 僕は絶対的にジャン・ティエチュエンとジョン・タックの試合ですね。マカオ大会唯一の中国人ファイターのジャン・ティエチュエンですが、正直、UFCのヒエラルキーでいえば最下層にいる。そんな彼が母国といえるマカオで、グアム最強のファイターのタックと対戦する。

――イム・ヒョンギュと並び、今大会がUFCデビューとなるタックですね

高島 柔術家でありながら、フィリピン最強のエドゥアルド・フォラヤンを8秒でTKOしている彼は、マカオ大会というくくりがなくても、要注目の一人です。今はサンディエゴのアリーナMMAに所属していますが、元は彼もPXCで活躍していた選手。

中村 僕が取材に行った9月1日の大会では、最初はPXCライト級王者のハリス・サルミエントに挑戦する予定が、負傷で欠場。大会後も「戦おう」ってアピールをしていたのですが、急転直下のUFC入りが実現した選手ですね。

高島 TUF15のイリミネーション・ラウンドでは結果的にシーズン準優勝したアル・イアキンタに敗れているのですが、途中でヒザを負傷したみたいでした。それでもバックに回って組み技でも攻勢に出ることもあったし、5分間では本領発揮できなかったですが、あの試合だけでは計れない強さを持っていると思います。

 組技の強さと、あのパンチ力は今後のライト級戦線を見据えたうえでも、要注目のファイターだと思います。なんて言っていて、ジャン・ティエチュエンのギロチンがハマることもあるかもしれないですが(笑)。グアムからタックのような選手が出てきたことは、やはりすごく脅威ですね。

日本人ファイターを脅かす“アジアの新興勢力”

もはや日本人がキム・ドンヒョンに学ぶ時代がやってきた。UFCで6勝は岡見勇信に次ぎ、アジア人第2位の勝ち星だ 【(C) 2012 Zuffa. LLC.】

中村 僕はキム・ドンヒョンとパウロ・チアゴですね。キム・ドンヒョンは岡見選手の次に実績を残しているアジア人。元々、彼は岡見選手のことをすごくリスペクトしているんですが、キム・ドンヒョン自身が日本人ファイターからリスペクトされて然りという存在になっている。

 タイトル戦を狙う位置にいるキム・ドンヒョンにとって、このパウロ・チアゴ戦はとても大切な試合になる。7月のデミアン・マイア戦が試合になる前に負傷で負けてしまっているので、ここはしっかりと勝ちたいところですね。

高島 キム・ドンヒョンはUFCでは競り合いで負けたことがない。これはすごいことです。彼から学ぶことは、すごく多い。

中村 ネイト・ディアズを投げまくっていますからね。余計な打撃をもらわず、自分の打撃で試合を組み立て、絶対に下にならない。すごく高い意識を持っている選手です。

――日本に1週間ほど滞在して、岡見選手らと練習していたようですが、その岡見選手が「練習ばかりしているので、食事をご馳走する時間もない」と言っていました

中村 ホントに日本人選手にも、日本のUFCファンにもアジアにキム・ドンヒョンというファイターがいることをもっと注目してほしいです。こういうタイトルを狙える選手がアジアにいて、このタイミングで勝負論的にも大切な試合が、メインカードで組まれている――日本人選手が数多く出る大会ですが、むしろキム・ドンヒョンに注目して欲しいと言いたいぐらいです。

高島 今回は水垣選手や漆谷選手のように「UFC151」からスライド組がいますが、これから日本人選手がUFCに出る場合、韓国人ファイターがどれだけデキるのか……ということをファンもMMA関係者もキム・ドンヒョンとカン・ギョンホの試合をしっかりとチェックすることで知る必要があると思います。

 MMA以外のスポーツでいえば、日本人男子の個人スポーツ、団体スポーツを問わず、どれだけ韓国に勝てているのか――ということを考えれば、MMAにおける数年前まで見られた日本側のアドバンテージはあってないようなもの。

 今はまだ、アジア人同士の対戦はそれほど頻繁に行われないかもしれないですが、UFCが日本、マカオ、そこにフィリピンなどを加えアジア・サーキットとしての活動が本格化してくれば、日本人は対アジア人という部分が非常に大切になってくる。そうなった時、韓国人に勝たないと米国人やブラジル人と戦えない時代がやってくるかもしれない。

中村 今の英国大会やブラジル大会で、欧州人同士、ブラジル人同士のカードが組まれているのと同じことが、アジアで起こりうるということですよね。

高島 UFCのグローバリーゼーションは、そこまで来ており、今後日本はアジア圏内のインターナショナリゼーションを視野に入れる必要が生じてくるに違いない。

中村 地区予選という言い方は正確ではないかもしれないですが、そのヨーロッパ、アジア、ブラジル、オセアニアなど地域で一番のファイターが米国へ行き、そこで世界一を目指してシノギを削り合う。その前兆が、このマカオ大会で見られているはずです。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント