表彰台目指した可夢偉、決勝は散々なレースに クラッシュで波乱、後半戦は再び混戦か=F1

吉田知弘

予選は自己ベストを更新する2位

予選2位で表彰台を狙った可夢偉だったが、クラッシュやトラブルに見舞われ13位に沈んだ 【写真:ザウバー】

 2012年のF1世界選手権第12戦ベルギーGPがスパ・フランコルシャンで行われ、ポールポジションからスタートしたジェンソン・バトン(マクラーレン)が圧勝で今季2勝目、通算14勝目のトップチェッカーを受けた。

 ここ数戦、調子を取り戻しつつある小林可夢偉(ザウバー)は、まず土曜日の公式予選で見どころを作った。ザウバーマシンと相性が良いと言われているスパ・フランコルシャン。可夢偉は僚友セルジオ・ペレスとともに順当にQ3へ進出し、最後のアタックではコース中盤のセクター2で全体ベストを記録する走りを見せ、見事自己ベストを更新する2位を勝ち取った。

 日本人がフロントロー(最前列)からスタートするのは2004年ヨーロッパGPの佐藤琢磨以来。第10戦ドイツGPでも見事なレース運びで4位入賞を決めているだけに、ファンの期待は大きかった。しかし、そう簡単に表彰台に上れるほど、F1は簡単な世界ではなかった。

可夢偉「今日の内容は忘れようと思う」

 スタート直前のフォーメーションラップから戻ってくると、可夢偉のマシンのブレーキ部分から白煙が上がった。そのままスタートが切られたが、1コーナー手前のイン側でロメ・グロジャン(ロータス)がきっかけとなった多重クラッシュが発生。アウト側に逃げようとした可夢偉だったが行き場を失い巻き添えを食らってしまった。すぐにピットに戻って応急処置を済ませてコースに復帰するが、2位から20位へと転落。ポイント獲得の可能性はほぼ絶たれてしまった。

 それでも、可夢偉はあきらめずに走行を続ける。スタート時の白煙はブレーキの発熱が原因だったとのことだが、一時的な症状で走行に大きな支障を及ぼすことはなかったが、1コーナーで巻き込まれたクラッシュの影響で思うようにペースを上げられないままの周回が続いた。さらに今度はタイヤの空気圧が低下していくトラブルで再び緊急ピットインを余儀なくされてしまうなど、まさに散々なレースで13位完走という結果に終わった。

 レース後、可夢偉はチームがオフィシャルでYouTubeに公開している動画インタビューで「今日の内容は忘れようと思います。これから残り8戦あるので、そのどこかで今回のような予選結果を出して、優勝目指して走れるようにしっかり頑張りたいと思います。応援してくれた皆さん、ありがとうございました」とコメントした。

 その残り8戦の中には、鈴鹿サーキットでの日本GP(10月5〜7日)も含まれている。今回のスパ・フランコルシャン同様にザウバーマシンと相性の良いコースレイアウトであるため、鈴鹿での予選・決勝では良い結果が期待できそうだ。

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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