表彰台目指した可夢偉、決勝は散々なレースに クラッシュで波乱、後半戦は再び混戦か=F1

吉田知弘

王者ベッテルは堅実な走りで2位

スタート直後、多重クラッシュが発生。可夢偉も巻き添えを食らった 【Getty Images】

 今回のベルギーGPはスタートから大混乱のレースとなった。8番手スタートのグロジャンがルイス・ハミルトン(マクラーレン)にやや強引な幅寄せを行った結果、2台は接触。そのままフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)、ペレスらを巻き込む多重クラッシュとなった。各車マシンの損傷がひどかったが、幸い全員大きなけがはなかった。この多重クラッシュの原因を作ったグロジャンは1レースの出走停止処分を受けることになった。

 こうした混乱をよそに、上位争いに進出してきたのが現王者のセバスチャン・ベッテル(レッドブル)だった。予選ではまさかの11位でQ2敗退。これまでスパ・フランコルシャンは得意中の得意としてきたレッドブル陣営だったが、今年はこのような高速コーナーの多いコースで苦戦してきたため、決勝も厳しいレース展開になるかと思われた。

 しかし、レースペースでライバルを圧倒できない分、ピット戦略での逆転を狙ってきたレッドブル陣営およびベッテルは、タイヤの消耗を気にして2ストップ作戦を選ぶドライバーやチームが多い中、優勝したバトン同様に1ストップ作戦を選択した。これが見事に的中し、最終的にトップのバトンに迫ることはできなかったが、堅実な走りで2位表彰台を獲得した。一時はランキング首位のアロンソに対して44ポイント引き離されていたが、今回一気に18ポイントを稼ぎ、トータル140ポイントでランキング2位に浮上している。リタイアにより0ポイントに終わってしまったアロンソ(164ポイント)に対して24ポイント差まで詰め寄る結果となった。

 夏休み前の第11戦ハンガリーGPを終えた段階で40ポイントの貯金を持っていたアロンソが、後半戦も有利な展開で進めていくと思われたチャンピオン争い。だが、予想もしなかった彼のリタイアがきっかけで、序盤戦のような大混戦の展開に戻っていくかもしれない。

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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