関塚監督「自分がやれることはやり尽くした」=U−23日本代表監督退任会見
若い選手たちと一緒に過ごしエネルギーをもらった
原委員長(左)は「五輪のベスト4ということで非常に良いチームをつくってくれた」と関塚監督をねぎらった 【スポーツナビ】
関塚監督 19、20、21の世代はタイトルの懸かった試合をどれだけ多くやってきたかという経験が不足している部分はあると思います。実際に代表の仕事をしてみて、各地域を見ても、そういう経験は不足しているなと感じました。今後そこをどうクリアしていくかは大事な部分じゃないかと思います。
メキシコは国内リーグでこの年代の選手を必ず試合に出さないといけないというルールがあります。トゥーロンみたいな大会にこの年代が出ていくことが重要じゃないかと。国内でのタイトルが懸かった試合をいくつやるかということと、国際大会にどれだけ出るかというのも非常に大事だと思います。
原委員長 僕からも付け加えます。日本のサッカーの課題はこの年代の選手をどれだけ伸ばしていくかだと思っています。そこでJリーグ側とも話をしながら、サテライトリーグがなくなった今、何ができるのかと。関塚監督に来てもらったのは10年から。この年代がU−20W杯のアジア予選で2回連続で負けていますが、僕が協会に入った09年、小野(剛)委員長の時代から予選は突破できていませんでした。U−20の合宿を御殿場でやったり、韓国の水原カップ(水原国際ユース)にも招待してもらって、韓国、南アフリカ、エジプトが出る大会に参加させてもらいました。そこはA代表の岡田監督以下、スタッフ陣にやってもらいました。今の育成の技術委員長の西村(昭宏)監督にこの年代の選手をスペインに連れて行ってもらって、大会に出たこともありました。協会として、Jリーグと話しながら、継続してこの年代を大会に出場させています。Jでもしレギュラーでやっているなら、Jでやってください。ただJで出るか分からないのであれば、こういう大会に連れて行って、どんどん鍛えましょうという話をして、関塚監督にバトンタッチされた。
今回の五輪も短期間で信じられないくらい選手が成長しました。その可能性を持っているので、監督やコーチングスタッフと話をして、その強化は継続してやっていこうと。メキシコは日本の仙台カップ、新潟国際、SBSやサニックス杯も全部来ています。チームを分けて、強化をしていることが今回分かりましたので、協会としてもこの年代の強化は絶対必要だということを現場とも話してより感じました。
――すごく短期間で劇的な変化を見せた選手たちだったと思うが、彼らと過ごした2年間で監督自身が学んだこと、発見したことは何か? 就職活動とは別のことで何かしたいことがあれば教えてほしい
関塚監督 若い選手たちと一緒に過ごしエネルギーをもらったなと。彼らは非常にサッカー好きですし、うまくなりたくて飢えているから、そういうふうなことは感じましました。そういう意味で、日本のサッカーは今後彼らが担っていくと思います。僕自身もサッカーだけじゃなくて、人間として成長していくことがプレーの幅を広げたり、代表選手に近づいていくと思います。いろんな意味での振る舞いとか、人間的に成長していくことが重要だと思います。
就職活動といっても実際にはまだ何も考えていません(笑)。
原委員長 講演がいっぱい入っているんですよ。(笑)
「日本人はやれるな」と手応えを感じている
関塚監督 五輪の強化というよりも、育成世代からの強化だと思うんですよね。やはり16、17(歳)から引き継がれていくものであって、先程原さんに付け加えてもらったように、僕が10年9月にアジア大会から五輪チームを立ち上げましたけれども、やはり協会として水原カップとかスペインの国際大会にこの年代を連れていって、強化というのはその大会を通じてやっているわけなので、それを継続してやっていくというのが大事だと思うんですよね。その年代をいつ立ちあげて、どう区切るかとか、監督を誰がやるかということではなく、継続してやっていくことが大事なことだと思いました。
これは以前から、岡田監督が代表でやっているときも、僕が個人的に食事をした時も言っていましたし、原さんもそういうところの話をしていました。われわれも五輪チームになって、ザッケローニ監督の代表チームが、われわれに(戦術が)浸透するようにという、ひとつの役割を果たしましたし、U−18の御殿場での試合にわれわれスタッフが行って、下の各年代とのコミュニケーションもとっていましたし、こういうことを継続的にやっていくことが、日本のサッカー界のために大事だと思うので、どこでどう区切るというよりも、継続的に評価していくこと、日本でやるだけではなくて海外に出て試合をすることが大事だと思います。
戦術的なところはこれからまた整理しますけれども、どこが劣っているというよりも、「日本人はやれるな」と手応えを感じている部分のほうが多い。もう一つ最後のところで相手をはがす、あるいは決め切る力が必要だというのはありますが、ああいう舞台でタイトルの懸かった、勝ち点を取るための試合を積み重ねる経験が非常に大きいのではないか。この五輪世代で海外に出て行く選手が多くなりましたが、海外だけではなくて日本のJリーグのトップリーグがもっと厳しいタイトルを懸けた試合をやることで、個を大きくする。日本代表にかけられる時間は少なくなっていると思うが、短期間で集まった時にぱっとできる、そういうメンタリティーと戦術的なところを高めていく大事な時期に来ていると思います。そういう意味でJリーグの充実、国内のトップリーグの充実と海外の出て行ったプレーヤーがそういう役割を果たしていくことが大事かなと思います。
――いつかはA代表の監督をやってみたいと思われますか?
まずは結果はほかのところで出さないといけないと思っています。
(協会スタッフより、花束贈呈)
関塚監督 ありがとうございました。
<了>
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