船木が三冠王座を戴冠、ノア秋山を4分半の電撃葬=全日本プロレス

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カズ「これが見たかった」 武藤と小島が握手

カズ(右)が20周年記念試合で勝利、盟友・小島も祝福 【神谷繁美】

 セミファイナルではカズ・ハヤシのデビュー20周年記念試合として、ゆかりのある選手が集結。カズと新日本プロレス・小島聡がタッグを組み、武藤敬司&ジミー・ヤン組と対戦した。

 武藤がカズを相手にドラゴンスクリューからの4の字固めへと連係する黄金コース、さらにシャイニング・ウィザードを惜しげもなく連発してみせれば、今年3月以来の全日本マット登場となる小島も、一部ブーイングも聞こえるなか、その武藤に対しマシンガンチョップからいっちゃうぞエルボーを繰り出し、ラリアットも炸裂。この攻防でヘビー級両雄がダブルダウンとなると、カズがヤンを相手に一気に攻勢を仕掛け、ファイナルカットでは3カウントを奪えなかったものの、小島のラリアットの援護を受けた上でパワープラントをキッチリと決め、20周年記念試合を勝利で飾った。

 そして試合後、節目の試合を勝利で決めたことよりも「これが見たかった。何かのきっかけになりたかった」とカズが喜んだのが、武藤と小島による握手だ。小島は2010年に全日本プロレスを退団、その後フリーを経て、古巣の新日本に再入団した。7月の新日本&全日本40周年合同大会ではタッグを組んだ武藤と小島だったが、もう退団に関するわだかまりがないことをこの全日本マットでも証明。「この記念の試合に呼んでくれたカズ、戦ってくれた武藤さん、そして全日本プロレスに感謝したい」と、小島は噛みしめながら感謝の言葉を語った。
 一方、カズも「人と人の間に色々あるのはどの社会でもいっしょ。いつまでも根に持っても仕方ない。シャットダウンするんじゃなく、何かあれば感情を出して戦いたい。全日本のリングはそういう場所でありたい」と話すと、「すっきりして幸せな気分です。自分もまだまだ行きますよ」と、全日本ジュニアの象徴的存在としてまだまだ暴れ回ることを約束した。

ワイルド全開で防衛! 征矢、宿敵・関本組を撃破

征矢(右)が渾身のワイルドボンバーで岡林をなぎ倒した! 【神谷繁美】

 第5試合では、世界タッグ王者・征矢学の指名により、7月までアジアタッグ王座を6度防衛していた大日本プロレスの関本大介&岡林裕二組を挑戦者に迎え、征矢&大森隆男のGET WILDが2度目の防衛戦。これまで征矢は関本&岡林組には分が悪く、真田聖也とのアジアタッグ戦線時代からタイトルのかかった試合では全敗。前哨戦での勝利1度しかしていない。そのウップンを晴らすべく、征矢のワイルドがこのリニューアルされた大田区総合体育館で全開となった。

 序盤は大日本コンビのパワーに圧倒され、ローンバトルで苦戦する場面が多かった征矢だが、パートナーの大森が好アシストを発揮。関本のぶっこ抜きジャーマンを食らいながらすぐさま立ち上がるとアックスボンバーで反撃。さらに、アックスギロチンで岡林に大ダメージを与えると、待ってましたとばかりに征矢がデスバレーボム。ここは関本にカットされるが、再び大森が関本を場外に釘づけにして分断すると、征矢が渾身のワイルドボンバー2連弾でついに“リベンジ”を果たした。

「もう怖いものなんてねぇよ! まだまだ上を見るぜ!」と勝利に大興奮の大森。さらに、いつもは破天荒な発言で場を困惑させることの多い征矢だが、この日は逆に「お前の恨みはオレの恨み。そしてお前の手柄はオレのもの、オレの手柄はオレのもの。オレが勝ったようなもんだな!」という大森のジャイアニズムにタジタジとなってしまう。しかし、宿敵をようやくなぎ倒し、「暑苦しい関本、岡林を倒したから、いい残暑払いになった」と征矢は晴れ晴れとした表情で勝利の余韻に浸った。

 しかし、世界タッグ王座戦で2度続けて下したジョー・ドーリングが、今度はパートナーを真田から変えてまたも挑戦を表明。ドーリングとしては連敗した2戦は真田がフォールを取られたものであり、パートナーを変えれば再び王座を奪回できるという算段だろう。これに対しGET WILDは「たやすく挑戦権が下りるのか!? 何でそんな融通が利くんだよ!! まずはパートナーを連れてこいや!!」と、即座には認めず。ドーリングは新パートナーに誰を連れてくるのか、注目が集まるところだ。

稔に初勝利&初防衛の大和、近藤とノア出撃へ

稔を下して初防衛に成功した大和(下)、次は佐藤との防衛戦そしてノア出撃だ 【神谷繁美】

 第6試合では8.12後楽園大会で新ジュニア王者となったばかりの大和ヒロシが、挑戦者にジュニアのトップ戦士・田中稔を迎えて初防衛戦を行った。

 これまで大和は稔相手に8戦全敗。キャリア・実績すべてで上を行く稔の前に、10分過ぎまで防戦一方となってしまう。しかし、カウンターのスピアーで突破口を開くと、稔の執拗な腕十字からの左腕攻め、また切れ味鋭いキックに再び防戦となるが、そのたびにがむしゃらな一直線ファイトで反撃。次第にペースを引きこみ稔を失速させると、なんと稔のハイキックを頭突きで跳ね返すという荒技も炸裂。そして、ラリアットからついに必殺のクロスアームスープレックスで捕え、世界ジュニア王座戦という大舞台で稔から念願の初白星を手にした。

 勝利の歓声を浴びていた大和だが、初防衛の余韻をブチ壊すようにパンクラスの佐藤光留が突如乱入。「おめでとう!」と握手すると見せかけてビンタをブチ込むと、佐藤は「佐藤なくして大和なし! オレを差し置いて何で初防衛戦なんかしてるんだよ!」と“ライバル”だからこそのジェラシーを大爆発させた。
「その大事なベルトをかけて、大事な佐藤光留と戦えー!」という挑戦直訴に、大和も「全力をぶつけられるのはアンタしかいない。次の挑戦者はアンタで決まりだよ!」とお返しのビンタとともに承諾。その後、「今やれんのか!?」という大和の挑発に今度はリング上で殴り合いになるなど、ややグダグダ感は漂ったものの、大和にはさらにサプライズが待っていた。
 控室前で師匠の近藤修司から「次はノアに2人で行くぞ! GHCジュニアタッグ獲るぞ!」と呼びかけられ、もちろん大和も二つ返事の快諾。急成長中の新時代ジュニア戦士・大和が全日本、ノアを股にかけて大暴れを見せるか。
■全日本プロレス『40th Anniversary Year SUMMER IMPACT 2012』
8月26日(日)東京・大田区総合体育館 観衆:3800人(超満員)

<第8試合 三冠ヘビー級選手権試合 60分1本勝負>
[王者]●秋山 準(プロレスリング・ノア)
(4分37秒 ハイブリッド・ブラスター→体固め)
[挑戦者]○船木誠勝
※秋山は5度目の防衛に失敗、船木が新王者に

<第7試合 カズ・ハヤシデビュー20周年記念試合 スペシャルタッグマッチ>
○カズ・ハヤシ、小島 聡(新日本プロレス)
(20分2秒 パワープラント→片エビ固め)
武藤敬司、●ジミー・ヤン

<第6試合 世界ジュニア・ヘビー級選手権試合 60分1本勝負>
[王者]○大和ヒロシ
(21分48秒 クロスアームスープレックスホールド)
[挑戦者]●田中 稔
※大和が初防衛に成功

<第5試合 世界タッグ選手権試合 60分1本勝負>
[王者]大森隆男、○征矢 学
(20分43秒 ワイルドボンバー→片エビ固め)
[挑戦者]関本大介、●岡林裕二(大日本プロレス)
※大森&征矢が2度目の防衛に成功

<第4試合 シングルマッチ 30分1本勝負>
○諏訪魔
(11分52秒 ラストライド→体固め)
●KAI

<第3試合 シングルマッチ 30分1本勝負>
●真田聖也
(8分2秒 レボリューションボム→片エビ固め)
○ジョー・ドーリング

<第2試合 獅龍デビュー20周年記念試合 スペシャル6人タッグマッチ>
獅龍、○ザ・グレート・サスケ(みちのくプロレス)、MEN’Sテイオー(大日本プロレス)
(8分20秒 片エビ固め)
TAKAみちのく(KAIENTAI−DOJO)、新崎人生(みちのくプロレス)、ヨ●ネ原人(みちのくプロレス)

<第1試合 全日本プロレス40周年記念 TIME LAG BATTLE ROYAL 時間無制限>
○ザ・グレート・カブキ
(13分24秒 トラースキック→片エビ固め)
●浜亮太

参加選手:KENSO、浜亮太、渕正信、近藤修司、中之上靖文、井上雅央、SUSHI、MAZADA、アンディ・ウー、ザ・グレート・カブキ
※ルール
(1)時間差で選手が一人ずつ登場し、ギブアップ、3カウント、ノックアウト、オーバー・ザ・トップロープで勝敗を決する。
(2)負けた選手はその時点で退場となり最後まで残った選手が勝利者となる。
(3)選手が登場する順番は入場テーマ曲をもって発表

退場順:KENSO、ウー、SUSHI、MAZADA、中之上、近藤、井上、渕、浜

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