船木が三冠王座を戴冠、ノア秋山を4分半の電撃葬=全日本プロレス

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船木がノア秋山を4分半で粉砕、三冠王座を戴冠した 【神谷繁美】

 全日本プロレスの2012年サマーシリーズを締めくくる東京・大田区総合体育館大会が26日に開催され、三冠ヘビー級選手権をはじめとする3大タイトルマッチなどで大激戦。暑い夏に負けない大熱戦が各試合で展開された。

 メーンでは至宝奪回に燃える船木誠勝が、現三冠王者であるプロレスリング・ノアの秋山準に挑戦。「後のことは考えないでいった」と序盤から猛スパートを仕掛けると、掌底連打から側頭部へのハイキック、とどめのハイブリッド・ブラスターとたたみかけて外敵を粉砕。4分37秒の短期決戦で三冠王座の初戴冠を果たした。1985年に15歳で新日本プロレスからデビューし、UWF、藤原組を経て、パンクラスではエースとして活躍、そして1度引退を挟んで2007年に現役復帰後、2009年からは全日本プロレスに参戦。パンクラスでは2度シングル王座戴冠歴はあるが、プロレスのシングル王座はデビューから28年目にして初の獲得となった。

 また、カズ・ハヤシのデビュー20周年記念試合では、カズ自らが勝利で花を添えた後に武藤と小島が退団のわだかまりを吹き払う握手。世界タッグ王座戦は征矢&大森のGET WILDが大日本プロレスの関本&岡林組を撃破、世界ジュニア王座戦では大和がついに稔から初勝利を挙げ初防衛に成功した。

渾身の掌底とハイキック!「打撃で突破口が開けると思っていた」

渾身の打撃戦で一気のスパート! 【神谷繁美】

 まさに電撃決着だった。ゴング直後、船木のタックルに秋山は膝で顔面をとらえるカウンター迎撃。「完全に狙われていましたね」。船木は今年1月4日、24年ぶりに参戦した新日本プロレスのリングで、永田から膝蹴りを直撃されて左頬を骨折。約半年の長期欠場に追い込まれていた。最大のウィークポイントをいきなり狙われたが、これで船木の闘志にも一層、火がついた。
 すぐさま船木がミドルキック連発で反撃すると、秋山も強引にエクスプロイダーでぶっこ抜いてみせるという、いきなりからのハイスパート攻防。再び膝を打ち込まれた船木は、フロントネックロックに捕まるが、これを耐えるとお返しの足関節を極めグラウンドでも互角。互いにギブアップは取れないと見るやスタンドに戻り、今度は掌底の打ち合いに。

「最後はもう、どうなってもいいって思ってました。でも、必ず打撃で突破口が開けると思っていました。本能的に掌底が出ましたね」

 再び顔面が変形するリスクを恐れず秋山のビンタを真正面から食らいながらも、渾身の一撃、そしてもう一撃と秋山に浴びせた船木。これでガクッと膝が落ちた秋山の側頭部へ間髪いれずハイキックを叩きこむと、崩れ落ちた三冠王者の体を持ち上げ、休養中に新開発したハイブリッド・ブラスター(変型ツームストンパイルドライバー)でリングに突き刺し3カウント。ここまでわずか4分半だが、濃密過ぎる短期決着だった。

「全日本を引っ張る」……次は諏訪魔を迎え撃つ

新日本時代の同期・武藤(左から2人目)も祝福、デビューから28年目でのシングル初タイトルだ 【神谷繁美】

「長い時間になれば絶対に秋山選手のペースになる。ここまで早い時間だとは思わなかったけど、でも長時間の試合はやりたくなかった」
 狙っていた展開で同世代の秋山を倒した船木は、同期でもある武藤敬司の言葉を借りながら「これを点で終わらせるのではなく、線にしていきたい。秋山選手とは何度でも戦いたい」とリマッチに意欲。そして、「このベルトを一番狙っていた」という日本最古の歴史を持つインターナショナル・ヘビー級王座のベルトをさすると、「本当に歴史を感じる。今はまだ借り物みたいだけど、これから重みが増していくんでしょうね。きょうから責任をもって、全日本プロレスを引っ張っていきます」と、団体の柱となってけん引することを誓った。

 生きてて良かったと思える一番の瞬間、と喜びに浸った船木だが、早くも初防衛戦の挑戦者として“エース”諏訪魔が名乗り。これに船木も「ベルトを取ればすぐに新しい戦いは始まる。次の横浜で挑戦を受けます」と受けて立つ構え。これにより、9月23日の横浜文化体育館大会で船木vs.諏訪魔の三冠王座戦が濃厚となった。

 1989年に故ジャンボ鶴田さんが初めて三冠王座を統一した“始まりの地”大田区総合体育館で、新たに誕生した王者・船木。宣言どおり全日本プロレスを引っ張り、団体創立40周年にふさわしい歴史を刻んでいく。

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