上位進出の鍵は木村の爆発力=元日本代表の大山加奈が解説

構成:田中夕子

上位進出のために木村選手の本来のプレーに期待

上位進出のため、木村の爆発力に期待 【Getty Images】

 いい面があれば、不安な面もあります。
 第一は、1戦目のアルジェリア戦が終わった時も気になった、木村選手の状態です。
 これまでの試合を見ていると、ストレートへのスパイクが打ち切れず、無理にクロスへのスパイクで勝負をしてミスをしてしまったり、軟打で逃げるパターンが目立ちます。トスのスピードに合わせることを意識するあまり、タイミングが取り切れていないのか、助走も十分に取れていません。
 とはいえ、スパイクが決まらないことに、おそらく木村選手自身もストレスを抱えているはずですが、今大会はサーブレシーブが非常に安定しているのは、さすがと言うべきところです。調子は悪くないはずです。

 これまでも苦しい場面では、木村選手の爆発的な攻撃力、チームをけん引する力が起爆剤となり、日本を勝利に導いてきました。準々決勝以降は、1次リーグとは比べものにならない厳しい戦いとなりますが、その状況でこそ「何とかしてくれる」と思わせてくれるのが木村選手です。考え過ぎずに、思い切った攻撃を仕掛けてくれれば、きっと本来の木村選手らしいプレーが見られると信じています。

 準々決勝で対戦するのは、激戦を勝ち抜いてきたチームばかりです。確かに厳しい戦いとなりますが、今まで積み重ねてきた日本の戦い方を徹底できれば、どのチームも勝てない相手ではありません。
 たとえ1本で攻撃が決まらなくても、泥臭く、1点でも積み重ねて勝機を探すのが日本のスタイルです。敗れはしましたが、ロシア戦のようにサーブで徹底的に攻めて、ブロックの狙いを絞り、はじかれないようにボールをつないでコツコツとチャンスを作る。
 月並みな言い方かもしれませんが、ここまで来たらやるしかない。気持ちと気迫のこもった、見る人を引き付けるような試合ができれば、きっと勝機はあるはずです。

<了>

大山加奈

【大山加奈】

1984年6月19日生、東京都江戸川区出身。小学校2年の時に地元のクラブでバレーボールを始め、小中高で全国制覇。特に成徳学園高3年時には春高バレー、インターハイ、国体の3冠を達成した。
 その年に初めて全日本に選出されると、同じく高校生でメンバーに選出されていた栗原恵(現:岡山シーガルズ)とともに「メグカナ」コンビとして人気を博す。高校卒業後は東レに入社。ワールドカップ、アテネ五輪に出場する。2007年ごろから椎間板ヘルニアなどのケガに苦しみ、10年に26歳で現役を引退。日本バレーボール機構への出向を経て、現在は東レに広報担当として勤務するほか、バレーの指導、普及活動にも携わっている。

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著者プロフィール

1976年神奈川県生まれ。日本大学短期大学部生活文化学科卒業。なぜか栄養士免許を有する。神奈川新聞社でのアルバイトを経て、月刊トレーニングジャーナル編集部に勤務。2004年からフリーとしての活動を開始。高校時代に部活に所属したバレーボールを主に、レスリング、バスケットボール、高校野球なども取材。

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