U−23日本代表メンバー選考に見られた2つの特徴=ロンドン五輪での戦い方に変化はあるのか
気になる選手選考はあるが
OA枠で招集された吉田にはリーダーとしての役割も期待される 【Getty Images】
GK:権田修一(FC東京)、安藤駿介(川崎フロンターレ)
DF:徳永悠平(FC東京)、吉田麻也(VVV/オランダ)、山村和也(鹿島アントラーズ)、鈴木大輔(アルビレックス新潟)、酒井宏樹(ハノーファー96/ドイツ)、酒井高徳(シュツットガルト/ドイツ)
MF:清武弘嗣(ニュルンベルク/ドイツ)、村松大輔(清水エスパルス)、東慶悟(大宮アルディージャ)、山口螢(セレッソ大阪)、扇原貴宏(セレッソ大阪)、宇佐美貴史(ホッフェンハイム/ドイツ)
FW:永井謙佑(名古屋グランパス)、大津祐樹(メンヘングラッドバッハ/ドイツ)、齋藤学(横浜F・マリノス)、杉本健勇(東京ヴェルディ)
バックアップメンバー
GK:林彰洋(清水エスパルス)
DF:大岩一貴(ジェフユナイテッド千葉)
MF:米本拓司(FC東京)
FW:山崎亮平(ジュビロ磐田)
ポジションごとの内訳は、GK2名、DF6名、MF6名、FW4名でバックアップも各ポジションに1名ずつ。アジア最終予選同様に基本システムが1−4−2−3−1であることを踏まえればFWは3枠でもよかったかもしれないが、永井、大津、齋藤はいずれもサイドハーフとしての起用もできる選手たちでありポジション別の人数配分は申し分ない。
会見で関塚監督は、18名のメンバー選考の基準とポイントについてこう説明した。「現在のコンディション、パフォーマンス、こういったところが非常に大事になってくる。18名というメンバーは、本大会でいろいろなケースが想定される中で、チームとして機能するであろうメンバーを選考しています」。五輪が18名という絞られた登録メンバーの大会であり、関塚ジャパンの目指すサッカーの1つのキーワードが「流動性」である以上、選考における大きなポイントはさまざまな状況、相手、試合時間に応じて複数のポジションをこなせる選手だ。予備登録に入った35名はいずれもマルチタスクをこなせる顔ぶれではあったが、35名から18名への絞込みではそれがより鮮明となった印象を受ける。
会見における質疑応答でも選考から漏れた選手の個人名を挙げて「今回外れた理由は?」という質問が出ていた。実際、アジア最終予選の主力メンバーとして戦ってきた選手、トゥーロン国際大会で光るプレーを見せた海外組の落選の理由は誰もが気になるところ。しかし、関塚監督の肩を持つわけではないのだが、18名のメンバーが決まった段階で周囲が落選の理由を聞き、監督が悠長にその理由を語ることは百害あって一利なしだと考える。代表チームの監督にとってメンバー選考は戦略や戦術の決定以上に重要な仕事であるのと同時に、「このメンバーで結果を残せなければ批判や責任を一手に引き受けます」という意思表示のようなもの。確かに気になる選手選考はあるが、ここでメンバーから外れた選手の落選の理由を探ることや、関塚監督に対して「なぜあの選手を選ばない」と不毛な議論をけしかけることはしない。
吉田を招集した意図
特に関塚監督が期待をかけるのが吉田麻也で、「吉田は前回の大会に出場しているし、年齢的にも近いということも含めて、後ろでしっかりとリーダーになってもらいたい」とコメントしている。酒井宏樹、酒井高徳の両サイドバックが海外組になったとはいえ、2次予選も含めたアジアでのアウエーゲームやトゥーロン国際の初戦トルコ戦など、U−23日本代表のウイークポイントは単純に守備、ディフェンスラインという表現ではなく、「押し込まれた時の対応」にあった。つまり、相手に押し込まれた状況、押し込まれた時間帯にディフェンスラインから苦し紛れのクリア、ロングキックが多く、せっかく奪ったボールを簡単に相手に渡してしまうため押し込まれた局面の打開ができない点だ。吉田に向けて関塚監督が「リーダーになってもらいたい」という言葉を発した裏には、そうした意図があると推測する。