経験の差が出た隣国対決=ポルトガル 0(2PK4)0 スペイン
動いたスペインと動けなかったポルトガル
PK戦の末にポルトガルを下し、歓喜するスペインの選手たち 【Getty Images】
対照的に、90分を終えるまでベント監督の交代策がセンターFW1人の入れ替えのみにとどまったのは、選手たちがまだ走れると判断したからとも考えられるが、実際はスペインほどベンチに使える駒がなかったからではないか。
こうしてポルトガルは、後半も半ばを過ぎると次第にファウルが増え、90分を終えるころには4人のDFとベローゾの5人が警告を受けるに至った。それでもスペインを枠内シュート1本、CK3本に抑え込んだことは十分に評価できる。90分にカウンターからゴール前左でメイレレスのパスを受けたC・ロナウドがビッグチャンスを生かしていれば、ポルトガルとしては完ぺきなシナリオだったはずだ。
だが、この最初で最後のビッグチャンスを決められず、延長戦に突入した時点でポルトガル勝利の可能性は小さくなった。100分を迎えたあたりから、とうとう選手たちの足が止まってしまったからだ。
逆にスペインはペドロ、イニエスタ、アルバの左サイドが立て続けにジョアン・ペレイラの裏をとり、あとは決めるだけという一方的な展開に持ち込んでいく。だが、結局フィニッシュの精度を欠き、120分の間に試合を決めることはできなかった。
経験の差が出たPK戦
対するポルトガルは、トップクラブでプレーするペペとルイス・ナニが冷静に決めた一方、これほどの大舞台はあまり経験したことがない2選手が失敗している。何より自身の順番を間違えてしまうほどナイーブになっていたブルーノ・アウベスのキックがわずかにズレたという結末は、すでに延長戦の時点で力尽きていたこのチームの限界を示していたように思えてならない。
<了>
文/工藤拓、提供/WOWOW