新王者に輝いたトヨタ自動車の強さの要因=バスケ
優勝を決め、喜ぶトヨタ自動車の選手たち。連日熱戦が続くファイナルとなった 【写真は共同】
最大19点をひっくり返し、初戦を制したアイシン
「あまりにも点差が開いたので思い切って早い時間にベンチメンバーに切り替えたのが功を奏したと思う」という鈴木貴美一ヘッドコーチ(以下HC)の言葉どおり、疲れが見えたスタートメンバーを下げた時間帯を控えの喜多川修平、高島一貴がよくつないだ。「おかげでスタートメンバーのスタミナが温存でき、終盤の激しいディフェンスからうちのペースに持ち込むことができた。非常に価値のある大きな1勝だと言える」(鈴木HC)
JBLの『王者』として君臨していたチームから佐古賢一(引退)、網野友雄(現・リンク栃木)、竹内公輔(現・トヨタ自動車)が抜け、新生チームとしてスタートした今季のアイシンには、当初戦力低下を懸念する声も聞かれたが、レギュラーシーズンが終わってみれば31勝11敗で1位をマークした。鈴木HCが「軸となる柏木(真介)、ジェイアール(桜木)に加え、成長著しい古川(孝敏)の存在が大きかった」というチームには、さらにシューター朝山正悟が定着。即戦力としてポイントガードの橋本竜馬も加入するなど明るい材料がそろい、以前の圧倒的な強さの代わりに「コツコツ努力してみんなで成長していこうというチーム」ができあがった。それだけに、この第1戦は新生アイシンの意地に懸けてどうしても勝ちたいゲームだった。前半の流れから見ればミラクルに近い大逆転劇は、チームの底力を示したまさに『価値ある1勝』だったに違いない。