ウェスタン・カンファレンス、台風の目は若手台頭の宮崎=bjリーグ

柴田愛子

宮崎の中心選手の一人、ディクスター・ライオンズ 【(C)MIYAZAKI SHINING SUNS/bj-league】

 バスケットボール・bjリーグ2011−2012シーズンも後半戦に入り1カ月が経過した。イースタン、ウェスタンの各カンファレンスともに僅差でチームが並んでおり、この混戦は今後さらに激しくなりそうだ。

 しかし長いシーズンを戦う上で、けが人が増えてくるのがこの3月。溜まった疲労と、気持ち的に中だるみになるこの時期は、どうしてもけがが多くなる。ここをどう乗り切るかが、プレイオフ争いが激化する終盤戦に向けて重要なプロセスとなるだろう。

 そんな中、注目なのが、けがで主力を欠きながらも、上位チーム相手に一歩も引かない戦いを見せる宮崎シャイニングサンズ。現時点ではウェスタン7位とプレイオフ圏の6位に届かないものの、強豪ひしめくウェスタンで若手主体ながらも奮闘し、上位チームを脅かす存在だ。徐々にけが人が戻っており、終盤戦に向けてさらなる躍進が期待される。主力が相次いで離脱するという窮地にたたされつつも、チーム一丸となって乗り切った宮崎はどんなチームなのだろうか。

開幕6連敗から学んだ宮崎の目指すべきスタイル

開幕6連敗からチームを修正した遠山HC 【(C)MIYAZAKI SHINING SUNS/bj-league】

 昨シーズンに新規参入し、結果はウェスタン・カンファレンス9チーム中8位とリーグの厳しさを味わった宮崎。真価が問われる2年目のスタートは、開幕6連敗という厳しい船出となってしまった。「この連敗によって、自分たちの実力がその程度なのだと選手は痛感しただろう」と遠山向人HCは厳しく指摘する。

「どのチームにも『こいつに任せておけば何とかなる』というスター選手が一人はいる。しかしうちにはそんな選手はいない。あえてうちのエースをあげるなら、ディクスター・ライオンズだが、彼はピックアンドロールが得意なわけでもないし、1対1で得点を取るタイプでもない。穴を見つけて点を取るタイプ。だから絶対的なエースとはいえない。他の外国籍選手もそう、一人で点を稼げるタイプではない」そう分析していた遠山HCだったが、当の本人たちはそうは思っていなかった。bjリーグでプレイ経験がないこともあり、自分達の能力を過大評価していたという。

 エースのいないチームが目指すのは、より強固なチーム力。しかし開幕当初の宮崎は、チームとして機能していなかった。無理にでも自分で点を取りに行くというセルフィッシュな部分が見られ、チームはバラバラ。個人技に頼ったところで得点の量産があったわけでもなく、それが勝利に結びつくこともなった。

「負けが続くことで、全員がこれではやばいと思ったんでしょう。徐々に意識してチームプレイに取り組むようになった。それがチームの調子を上げてくれた。追い詰められた状態で自分たちの身の丈に気づいたことが、連敗から学んだ大きな収穫です」と遠山HC。
 5人で点を取りに行き5人でディフェンスをすることの大切さを、6連敗で身にしみた宮崎は、全員が献身的にチームバスケに取り組むようになった。その結果、当時首位だった大阪エヴェッサに連勝する大金星をあげ、その後も右肩上がりで調子を上げていった。「非常にタフな状況でスタートしたシーズンだったが、選手は下を見ず自分たちのスタイルを地道に修正していったことが、勝敗に結び付いていったのではないか」と遠山HCは振り返る。

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