【記録と数字で楽しむセイコーGGP2024】男子400mハードル:「ハードル二刀流」で“現役世界No.1”の豊田が参戦。黒川は豊田に3勝1敗、今回の対決は??

日本陸上競技連盟
チーム・協会

【フォート・キシモト】

5月19日(日)に国立競技場で行われる「セイコーゴールデングランプリ陸上 2024 東京」。
現地観戦やTV観戦のお供に特に注目される種目について「記録と数字で楽しむGGP2024」をお届けする。
なお、原稿の締め切りの関係で、2024年シーズンの試合結果や情報は4月15日までに判明したものしか盛り込めていないことをお断りしておく。

・記録や情報は、4月15日判明分。
・年齢は、2024年5月19日現在のもの。
・文中、敬称略。

※リンク先は外部サイトの場合があります

【男子400mハードル】「ハードル二刀流」で“現役世界No.1”の豊田が参戦。黒川は豊田に3勝1敗、今回の対決は??

パリ五輪参加標準記録は、48秒70。2023年7月1日からの有効期間後にこれを突破したのが、豊田兼(慶大4年/自己ベスト48秒47=2023年)と黒川和樹(住友電工/48秒58=2023年)の2人。児玉悠作(ノジマT&FC/48秒77=2023年)も射程圏内だ。

男子110mHの2023年世界100傑内入傑の日本人は12人でブラジルと並び、28人のアメリカに次いで世界2位だが、400mHはそれを上回る。

男子400mHの2023年世界100位の記録は49秒61(計101人)で16人の日本人が入傑している。トップはアメリカの19人、3位は9人のジャマイカ、4位はブラジルなどの6カ国が3人で並んでいる。さらに、世界200位(50秒38=計203人)までなら日本は40人、アメリカの32人を上回り世界No.1だ。「層の厚さ」ということでは、400mHは110mH以上に充実している。

ただし、110mHは、2023年世界リストの6位が2人、19位、24位、34位、40位に上位の選手が位置していたが、400mHの最高順位は24位。以下は31位、39位2人、43位である。「世界のファイナリスト」を目指すには、もう一段のレベルアップが要求される。

2023年ブダペスト世界選手権では、黒川が準決勝に進出。48秒58の自己ベストで走った(第2組4着)が、ファイナルに進めた48秒39には0秒19届かなかった。世界大会には、21年東京五輪(予選4組6着)、22年オレゴン世界選手権(準決勝3組6着)にも出場していて、パリ五輪は、世界大会での「四度目の正直(?)」の力を示す舞台になる予定だ。

23年日本選手権はコンディションが整わずよもやの予選で組の最下位(53秒15)。ラストチャンスとなった7月29日の郷里・山口での田島記念を50秒11で走って、ワールドランキングでブダペスト行き切符をギリギリでゲットしたのだった。
黒川の山口・田部高校1年生から法大4年生までの年次ベストは、

【JAAF】

で、2022年は停滞したが、順調にタイムを伸ばしてきている。
社会人1年目の今シーズンの走りに注目だ。

国立競技場の観客席あるいはTV中継の画面で観る人の眼を引きそうなのは、豊田だろうか?

身長が何と195cmもある。100m・200m世界記録保持者(9秒58・19秒19)のU・ボルト(ジャマイカ)が196cmなのでほとんど同じだ。
110mHと400mHの「二刀流」。いや、インカレなどでは400mにも出場することも多いので、「三刀流」である。

自己ベストは、200m21秒40(2022年)、400m45秒92(2022年)、110mH13秒29(2023年)、400mH48秒47(2023年)。23年8月に中国・成都で行われたワールドユニバーシティゲームズでは110mHを13秒29で制した。

小学校5年生の時に地元の陸上クラブに入って100mと走幅跳に取り組んだ。東京・国立市にある桐朋中学校2年生からは顧問の勧めで四種競技にも。その中で、「ハードルが自分に合っているかも?」と感じ、桐朋高校に進んでからは110mHと400mHをメイン種目に選んだのだった。

高校1年生からの年次ベストは、

【JAAF】

極めて順調にタイムを縮めてきている。2024年は4月6日の東京六大学で400mH49秒38の自己4番目のタイムでシーズンインした。

「ハードル二刀流」の豊田は、上述の通り2023年に「110mH13.29・400mH48秒47」で走った。
世界歴代で「13秒49以内&48秒49以内」を達成したのは、史上6人目のこと。豊田以外は、いずれもアメリカの選手だ。
その6人のデータは、下記の通りで、世界陸連の採点表(2022年版)によるポイントも付記し合計得点の高い順に並べた。

<110mH13秒49以内かつ400mH48秒49以内の選手の世界陸連採点表による合計ポイント>
・「★」は、現役選手

【JAAF】

2種目トータルで豊田は3位だが、現役選手では「No.1」だ。

なお、上記は「110mH13秒49以内かつ400mH48秒49以内」に限ったが、「400mH48秒49以内」の世界歴代143位以内(計145人)の選手で110mHのタイムが判明している48人の2種目合計ポイントによる順位は、下記の通りだ。

<400mH48秒49以内の選手の110mHとの世界陸連採点表による合計ポイント世界歴代リスト>
・「★」は、現役選手

【JAAF】

【JAAF】

【JAAF】

【JAAF】

「ハードル二刀流」の合計ポイントでは、豊田は世界歴代6位。現役選手では、トップタイだ。
110mHの13秒29(世界歴代155位タイ)は、400mHを48秒49以内で走った選手の中では、歴代2位にあたる。
「たら、れば」の話になるが、五輪や世界選手権に「ハードル複合」という種目があったならば、豊田は有力な金メダル候補になりそうだ。
ちなみに、黒川は、110mH13秒97(1072点)、400mH48秒58(1202点)でトータル2274点である。

110mHとのトータルポイントで現役選手世界トップの豊田との差はあるが、黒川のメインである400mHでの豊田と対戦成績は、黒川の3勝1敗だ。

<豊田兼vs黒川和樹の対戦成績(決勝に限る)>

【JAAF】

また、豊田と児玉は、児玉の1勝0敗。
<豊田兼vs児玉悠作の対戦成績(決勝に限る)>

【JAAF】

黒川と児玉は、黒川の4勝1敗。
<黒川和樹vs児玉悠作の対戦成績(決勝に限る)>

【JAAF】

為末大さんが47秒89の日本記録をマークしたのが、2001年8月10日のカナダ・エドモントンでの世界選手権で銅メダルを獲得した時で23年前。五輪と世界選手権で行われるトラック種目では、女子も含めて最年長の日本記録だ。
豊田や黒川らの切磋琢磨によって、そろそろ更新してもらいたいところである。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)

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