女王・中部電力に挑んだ“新旧”チーム青森=女子カーリング、熾烈な日本代表争い

小川勝

「4強」の戦いが注目される中、中部電力が全勝で全日本選手権2連覇を達成した 【写真は共同】

 第29回日本カーリング選手権は2月14日、青森県青森市の青森市スポーツ会館で最終日が行われ、注目された女子決勝では、中部電力(長野)と、本橋麻里がスキップを務めるロコ・ソラーレ北見(北海道)が対戦、最終の第10エンド、最後の1投で逆転した中部電力が2連覇を飾った。3位はチーム青森(青森)。トリノ五輪代表の小笠原歩、船山弓枝が現役復帰した北海道銀行(北海道)は4位に終わった。男子はチーム北見(北海道)が3連覇を果たした。

「元祖カーリング娘」の復活で注目

 昨年の中部電力、チーム青森、ロコ・ソラーレ北見という「3強」から、今年は小笠原(旧姓・小野寺)、船山(旧姓・林)の北海道銀行も含めた「4強」の構造となって、予選リーグから大接戦が多かった。

 予選リーグで目を引いたのは中部電力と北海道銀行の対戦。20歳のスキップ藤澤五月、22歳のサード市川美余という若い中部電力と、母親になって復帰してきたトリノ五輪代表、33歳のスキップ小笠原、サード船山の北海道銀行という、若手とベテランの対決で、どのような戦いになるか、注目された。

 第10エンドを迎えて、北海道銀行が2点リード。後攻の中部電力としては、なんとか2点を取って延長に持ち込めれば、という状況だった。
 藤澤の最後の1投は、簡単ではなかったが、2点は狙える状況だった。だがプレッシャーのかかる中、正確に相手の石を打てるのか――それが問題に思えたが、藤澤の狙いはもう一つ上で、想像以上に最後の1投を大きく左に曲げ、相手の石だけを弾き出して、一挙に3点を奪って逆転勝ちを収めたのである。
 これで中部電力は予選リーグ1位を決め、北海道銀行は4位となった。順位としては大きな差がついたものの、直接対決ではこのような接戦を演じており、それほど実力差があるわけではない。

本橋麻里率いるロコ・ソラーレ北見がリベンジ

本橋麻里(中央)率いるロコ・ソラーレ北見はチーム青森を破り決勝進出。決勝では逆転で中部電力に敗れた 【写真は共同】

 予選リーグは中部電力、チーム青森、ロコ・ソラーレ北見、北海道銀行という順番だったが、決勝トーナメントの結果、最終順位は中部電力、ロコ・ソラーレ北見、チーム青森、北海道銀行となった。
 昨年は決勝トーナメントで力を発揮できなかった本橋のロコ・ソラーレ北見が、今年は予選リーグで2敗ながら、決勝トーナメントではチーム青森を破って決勝に進出。決勝でも第9エンドを終えて1点リードしていた。第10エンドに後攻を保持した中部電力に逆転負けしたものの、それでも、本橋もまだ25歳、サードの吉田夕梨花はまだ18歳、昨年より長丁場を戦う力がついてきたことは確かだ。

1/2ページ

著者プロフィール

1959年、東京生まれ。青山学院大学理工学部卒。82年、スポーツニッポン新聞社に入社。アマ野球、プロ野球、北米4大スポーツ、長野五輪などを担当。01年5月に独立してスポーツライターに。著書に「幻の東京カッブス」(毎日新聞社)、「イチローは『天才』ではない」(角川書店)、「10秒の壁」(集英社)など。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント